第1日 〜2004.8.15(日)〜

野島崎灯台→勝浦駅

千葉県(房総半島)最南端 野島崎灯台
野島崎1
 
 昨日までは、連続真夏日の連続記録を更新していたというのに、今日8月15日は突然の雨になった。嵐のような強風で、膝から下は雨でびしょびしょ。  そんな状況でも、やっぱりスタート地点の房総半島最南端の地に足を記しにいく。房総半島最南端の地の海側の岩の上には、夕陽を眺めるベンチがある。最近、テレビ番組でも紹介されて、有名になったベンチ。しかし、あの岩の上まで上る道はなく、岩肌をよじ登るしかない。この雨と強風では、あそこまで行くことはかなわない。  写真だけ撮って、また風に吹かれた雨にあたりながら、バス停へと戻っていく。
野島崎2
野島崎3
1.野島崎灯台9:24→10:20館山駅(ジェイアールバス関東) 1,070円 袖ヶ浦22か・574 三菱
野島崎灯台バス停
野島崎灯台

 旅の始まりは、JRバス関東のバス。この野島崎灯台バス停へ来るバスは、完全な観光路線。土休日と学休日のみ運転で1日5本しかない。一般路線は、1本北の国道を走り、そちらには野島崎灯台口というバス停がある。一般路線なら、館山駅まで30分ほどで590円。観光路線は県道をぐるっと遠回りして1時間ほどかかって1070円。そんなこともあって、地元の方がこのバスに乗ることは、ほとんどないのだろう。
 経路になっているフラワーラインにちなんでか「フラワー・館山」の行き先を出したバスがやってきた。このバスも、もちろん無人だった。とにかく、風と雨から逃れて車内に入れるのがうれしかった。
 県道のフラワーライン沿いには、南房パラダイスやファミリーパークなどの観光施設があるものの、雨の日曜日の午前中なので、乗ってくる人は誰もいない。  ようやく乗客が現れたのは、一般路線の区間便がある伊戸からだった。その後は、旧盆中の休みを過ごしたらしい、ホテルの帰り客が次々と乗ってきて、終点の館山駅へ着く頃には、ほぼ満席になっていた。

2.館山駅12:10→12:48お花畑(館山日東バス) 700円 袖ヶ浦22か・232 いすゞ/富士重工
日東館山バス
 あまりの気温の低さに、駅前のハンバーガー屋で時間をつぶす。天井から吹き出すエアコンも、冷風ではなく温風になっているようだ。とても房総半島の8月とは思えない陽気だもの。
 1日4本のお花畑行きの時間まで40分ほどになって、駅前のスタンドでカツ丼の昼食。バスの車庫を見に行くと、すでにお花畑の行き先を出したバスが停まっている。あれが、乗車するバスになるのだろう。通りから1枚写真を撮っておく。
 乗客は数名。バスは内陸部を行く、国道128号線を延々と走る。千倉を過ぎて、和田町の白渚(しらすか)海岸まで来て、ようやく右手に海が見えてきた。そんな風景もわずかで、和田町の外れにあるマンションの脇に立つお花畑バス停に到着してしまった。「鴨川方面の乗り場は」とたずねると、「そこ」と狭い路地の向かいを指さす。バスが行ってしまうと、その車体の影からポールが顔を出した。どうやら、この路地の奧に折り返し場があるようだ。細道を行ったバスは、そのまま休んでいるようで姿を現さなかった。
お花畑 バス停
お花畑バス停
 国道上には、白浜と亀田病院を結ぶ急行バス「くろしお」号のバス停があるものの、ローカル便はマンションの脇の細道にポールが立っていた。
 ここが、館山日東バスと鴨川日東バスの接続地点で、早朝のバス以外は、ここで両者のバスが接続を取るダイヤになっている。
 バス停の脇には、お花畑の看板とともに、この時期はヒマワリ畑になっていたが、すでに花は全部終わって、枯れかけたヒマワリだけが立っていた。
お花畑
3.お花畑13:02→13:16太海駅入口(鴨川日東バス) 380円 袖ヶ浦22か・334 いすゞ/IK COACH
お花畑の鴨川日東バス
 マンション裏の折り返し場から、マンション脇の細道を通って、天津駅行きのバスがやってきた。お花畑から乗ったのは、私一人だった。  しばらくは、ほぼ海に沿っていく。天面漁港など、内房線からではよく見えない湾も、その形に添ってゆっくり弧を描いて走っていく。15分ほどで、太海駅入口に到着する。
 このまま天津駅まで乗っていってもいいのだが、今日はここから山の方へ寄り道しようということで、降りることにした。  乗り継ぎのバス乗り場を、降りるとき運転士さんに確認すると「駅前からだね」とのこと。国道の脇の緩い坂を登って、太海駅前に行く。
4.太海駅13:35→13:46温泉入口(鴨川日東バス) 250円 袖ヶ浦22あ・・35 日野
曽呂温泉への鴨川日東バス
 太海駅から曽呂川に沿って、県道を鴨川市と和田町との境界に近い曽呂終点まで行くバスに乗っていく。曽呂終点が正式なバス停名で、行き先表示もちゃんと「曽呂終点」になっている。でも、終点に「終点」という字が付いている路線も、なかなかめずらしいのではないだろうか。
 駅を出て、次の停留所は「曽呂入口」。ここから左折して、曽呂川に沿った県道を行くことになる。まだまだ終点までは遠い。県道は、だいぶ改修されていて、片側1車線、のセンターラインのある道路になっている。でも、バスは川の対岸の、センターラインもない細道にわざわざ寄っていくかのように入っていく。
 その細い道路から、県道に戻ったところが、温泉入口バス停だった。ここまで駅から約10分。このバスが、終点まで行って、少々休憩して再びこのバス停まで戻ってくるのに、約1時間10分。温泉入浴には、ちょうど良い時間だ。
曽呂温泉入浴(日帰り入浴料900円)
曽呂温泉入口バス停
曽呂温泉への道   バス停すぐのところに、曽呂温泉の看板がある。ここから田んぼの中の細道を登ったところにある。看板には徒歩5分とあったけれども、登り坂なので7分ほどかかった。
 途中の分岐点にもちゃんと道案内(かなり古びてはいたけど)があったので、迷うことなくたどり着くことができた。
 温泉は、ガイドブックにあった通り、真っ黒いお湯。浴槽に入ると、自分の足さえ見えなくなってしまう。ゆっくり入ると、雨で濡れた体が芯から温まってくるようだ。
 バスの時間が近づいて、温泉を後にする。一山越えれば、最近「大山千枚田」として有名になった、段々の水田がある。でも、こちらの山だって、規模は小さいけれども棚田はあちこちに見られた。
曽呂温泉あと少し
曽呂温泉近くの棚田
5.温泉入口14:57→15:08太海駅(鴨川日東バス) 250円 袖ヶ浦22あ・・35 日野
曽呂温泉からのバス
 県道で待っていると、来たときと同じバスがやってきた。行きも貸切だったが、帰りもここまで誰も乗っていなかった。
 行きと同様、曽呂川沿いの細道を走って、駅へと向かう。結局帰りも貸切。途中で乗ってくる人はいなかった。
 こういう路線だけれども、休日運休ではなく、ちゃんと休日も走っているのがうれしい。この路線のおかげで、温泉に入りに行くことができたのだから。
 駅に近づいて、運転士さんから「上ですか、下ですか」と聞かれた。これは国道上でいいか駅前まで行くかということだなというのは、すぐに理解できた。「駅前でお願いします」というと、運転士さんは180度ターンが必要な交差点を曲がって、駅へ向かう坂道へとバスを進めてくれた。
旧道を走るバス車窓
車内風景
6.太海駅入口15:15→15:42天津駅(鴨川日東バス) 400円 袖ヶ浦22か・382 いすゞ/IK COACH
太海からのバス
 1つ手前の仁右衛門島入口始発のバスは、誰も乗っていなかった。次の曽呂入口を過ぎると、嶺岡山の山並みが海まで続いているので、短いトンネルで抜ける。すると、そこが鴨川松島といわれる、小さな湾にいくつかの島が浮かぶ風景が広がる。内房線も国道も、嶺岡山を長いトンネルで抜けてしまうから、この風景が眺められるのは、旧道を車高の高い路線バスで走った時だけだ。
 鴨川の商店街は、道が狭く一方通行も多い。直角に曲がるところも多く、運転士さんは大変そうだ。そんな細道を通りながら、裏道から鴨川駅前にある、鴨川日東バスの鴨川駅に到着した。
 鴨川駅〜天津駅は、鴨川日東バスの主要区間で、平日20分間隔、休日30分間隔と、地方の路線としてはかなりの頻度で運転されている。乗客は鴨川駅で入れ替わり、そのまま乗っていたのは私だけ。ここはちゃんとしたバス駅で、発車案内とともにベルがジリンとなって発車した。
 3分ほど遅れて天津駅に到着。30分後の興津駅行きまで、しばらく待つことにする。
7.天津駅16:09→16:36興津駅(鴨川日東バス) 480円 袖ヶ浦22か・179 いすゞ
天津からのバス
 ここから先は、だんだんとバスの本数が少なくなる。興津駅まで行くのは、休日は6本しかない(平日でも7本だけど)。乗客は少ないものの、天津の集落を抜けた城崎海岸から数人の団体が乗ってくる。
 小さなトンネルを抜けると、目の前に小湊の湾が広がる。まだ、海水浴の季節だけれども、今日の気温では泳いでいる人はいない。脇道に入って、小湊駅に到着すると、さっきの団体さんはみんな降りてしまい、また私だけの車内になってしまった。
 誕生寺入り口を過ぎて、トンネルを抜け坂道を登ると、いよいよ安房から上総に入る。長いトンネルが2つ続くが、その途中の明かり部分がその境目。「勝浦市」の標識を見て、ここから上総の国になる。
 行川アイランドからは、もう貸切バスも通らない旧道を行く。今の国道バイパスができるまでは、渋滞の原因になっていた、大型車すれ違い不可のトンネルも、今では対向車もほとんどなく通り抜けることができた。
 やがて興津の商店街に入り、その途中を左折すると、そこが外房線の上総興津駅だった。バス停には旧国名は付かず、単に興津駅となっている。
8.興津駅16:50→17:06勝浦駅(小湊鐵道) 320円 袖ヶ浦200か・152 日野/富士重工
興津駅バス停
興津駅からのバス

 平日なら、もうこの時間に勝浦へ向かうバスはない。というのは、この路線は勝浦〜興津〜植野〜松野という路線で、夕方は勝浦から松野へ向かう方向の運転しかないのだ。ところが休日は興津〜松野は全便運休。かろうじて、海岸沿いの勝浦〜興津だけ運転されている。それで、その興津まで来た便が、折り返し回送にならずに客扱いをするので、休日のみこの時間に2本の勝浦行きがあるのだ。
 そんな回送同然のバスだから、乗客は自分しかいなかった。発車前に写真を撮っていたのを見た運転士さんが「この車両は、何かめずらしい」ときく。「自分の乗ったバスを記録しているだけですから」と言ってはみたものの、車内のプレートを見ると、日野と富士重工の組み合わせは、それなりにめずらしかったはず。15分ほどで、勝浦駅に到着し、今日はここまでにして、長者町の自宅へ戻る。

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