第11日 〜2006.8.23(水)〜

勝木駅前→鶴岡駅前

JR羽越本線 勝木駅
きらきらうえつ 勝木駅舎  昨夜は高田に泊まった。同じ新潟県内といっても西の端だ。特急車両を使った快速「くびき野1号」に乗って、高田から新潟に向かった。
 新潟からは臨時快速「きらきらうえつ」に乗車する。専用車両を使った全席指定のリゾート快速。オープンスペースの売店・サロン車で一時を過ごしたりして、汽車旅を楽しみながらスタート地点の勝木駅へ向かう。
 勝木駅到着の放送が流れて、デッキへと向かう。山形県の酒田まで行く列車だから、新潟県内で降りる人は少ないようだ。勝木で降りたのは、自分だけだった。駅そのものも無人駅。全席指定の快速だから、当然指定席券を持っているのだが、出口で回収されることもなく手元に残すことができた。駅前から、いよいよバス旅の再開だ。
60.勝木駅前12:09→12:33日本国麓郵便局前(新潟交通北)460円 新潟22か・840 三菱/新呉羽
勝木駅前の新潟交通北 日本国麓郵便局バス停  勝木駅前にやってきた雷(いかづち)行きのバスは、6月にここまで乗ったのと同じバスだった。元貸切用だった車両の前と扉脇に、内側から行先表示器をつけてある。乗客は誰もおらず、たった1人の乗客で勝木駅前を発車した。
 まずは、山の中を通って府屋へ向かう。府屋に近づくと海の見えるところがあったものの、途中から線路より山側へと入っていく。府屋駅前に寄るものの、誰も乗ってこない。
 昼過ぎのバスだし、もう誰も乗ってこないのかなと思ったのだが、そうではなかった。新潟県の夏休みはもう終わったようで、中学校前に来ると10人ほどの生徒が待っていた。そして、ここから先が狭隘路の連続だった。一部、新しくなって片側1車線になっているところもあるのだが、残りは乗用車ともすれ違えないほどの道が続く。中学生はおしゃべりしたり、オニギリを食べたりしている。バスが走っている狭隘路には、まったく関心がないようだ。こちらは、この曲がりくねった道で対向車が来てしまうのではと、ハラハラしているのだが。
 やがて集落の中に入っていく。ここが小俣の集落で、その入口に日本国麓郵便局がある。峠を歩くなら、次の小俣バス停の方が近いのだが、郵便局に寄りたくてここで降りた。バス停の時刻表示は、とても小さかった。
日本国麓郵便局
徒歩 日本国麓郵便局前→堀切峠(新潟・山形県境)→小名部(約3.5km)
堀切峠への入口 堀切峠の案内板  小俣の集落の外れまで来ると、堀切峠への登り口がある。ちゃんと、山形県の小名部への道であると標識も立っていた。そこからは、延々と登り坂が続く。それほど急ではないものの、ほぼまっすぐ1.5km登らなくてはいけない。周りの風景から畑が消え、山林ばかりになってしばらく行くと、そこが堀切峠だった。
 峠には、ちゃんと案内板や木柱が建っていて、観光地とは呼べないものの、歴史ある峠であることがわかる。ここからは、小名部まで約2kmの下り坂。登ってきたよりも角度が急なようで、踏ん張りながら下っていく。きのこの栽培場を過ぎると、ようやく小名部の集落に入っていった。
堀切峠
61.小名部13:58→14:30温海温泉センター(あつみ交通) 830円 庄内200か・・51 日野
小名部のあつみ交通 小名部バス停  集落の中にあった小名部の郵便局に寄って、バス停の場所を確認する。待つこと15分ほどで、真っ黄色に塗られたリエッセがやってきた。行き先表示は「あつみ温泉」だが、JRあつみ温泉駅を経由して温海営業所まで行くバスだ。
 やってきたバスに、乗客はなし。まずは、国道345号線を海岸線へ向かって走っていく。やがて、国道7号線にぶつかる。右折して北へ向かうのかと思ったら、左折して南へ向かうではないか。道路脇に山形・新潟県境の看板があり、バスはいったん新潟県に入ってしまった。
 国道の坂道を海へ向かって下ったところで、バスは左折して180度ターン。鼠ヶ関の集落へ入っていく。たしか、この集落の中に新潟・山形県境があったはず。目を凝らすと、新潟・山形県境の石柱が民家の脇に見えた。その石柱を過ぎたところが、伊呉野バス停だった。バスは新潟県を通過したものの、新潟県内にバス停はなかったのだ。
 そこから、日本海に沿って国道7号線を北上する。しばらく日本海を楽しんだところで、山側へ分岐してあつみ温泉駅へ寄っていく。
 駅を出ると、温海川に沿って走っていく。やがて温海温泉の温泉街となり、その中心地、温泉センターで降りることにした。この辺りが温泉街の中心のようだが、温海営業所は温泉街ではないようだ。
日本海を見て走る
温海温泉 手打ち蕎麦と温泉入浴(瀧の屋:日帰り入浴600円)
あつみ温泉の蕎麦屋  バス停前の洋品屋さんが、回数券販売所だと運転士さんが教えてくれた。あつみ交通と庄内交通は、回数券が共通利用できるとのことなので、それを買っておこうということなのだ。あつみ交通は回数券の車内販売をしていない会社なので、この機会を逃すと次は鶴岡まで買えそうにないから。
 無事に回数券の購入が済むと、温泉街の北の外れにある「大清水」という手打ち蕎麦屋さんへ向かった。勝木へ来る「きらきらうえつ」の車内で駅弁を1つ食べただけで、峠越えの歩きをしたので、正直けっこうお腹が空いているのだ。時間は中途半端だけれども、そば一杯なら夕飯にも響かないだろう。中に入ると他にお客はなく、それほど待つことなく運ばれてきた。
 出された蕎麦は、こしがあってとてもおいしい蕎麦だった。当地で涌くという清水も「ご自由にお飲み下さい」と、ウォータークーラーに入れて置かれていた。このお水が、またおいしかた。
 川沿いに歩いて、瀧の屋という旅館に行く。共同浴場もあるのだが、ここはウェブサイトで日帰り入浴料を載せている2件の旅館の内の1つ。共同浴場よりゆったりと入れそうだ。峠越えの汗を流してすっきりして、ついでに着替えもしてしまった。
62.温海温泉センター16:11→16:25温海川長元屋(あつみ交通)550円 庄内200か・・・4 日野
温海温泉のあつみ交通  1日2本、休日運休の温海川行きに乗っていく。今度はバスが大きくなった。それでも乗客はなし。次の神社前で、保育園児が3人乗ってきた。
 バス停では、おじさんやおばあさんが出迎えに来ている。子供たちは、運転士さんにお礼を言って降りていく。たちまち車内は自分だけになってしまった。すると、運転士さんから声がかかる。「どこまで行くの」「終点まで乗って、鶴岡行きに乗り継ぎます」「ああ、そう。いいねえ、そういう旅も。ここから先は、まずお客さんがいたことがないわ」とのこと。
 いつしか、車窓には温海ダムのダム湖が見えていた。かなり長いトンネルもある。運転士さんによると、冬は日本海の湿った空気がこの山に当たり、考えられないくらい雪が積もるのだそうだ。海岸からバスで15分ほどなのだが、冬場は風景が一転するのだそうだ。
 やがて、県道と国道345号線の交差点に出る。ここを左折して、国道を鶴岡方面へと走っていく。トンネルを抜けてしばらく行くと、バスは右側の道に入っていく。ここが温海川の集落のようだ。集落を抜けて、左折して国道に戻ったところがバスの終点、温海川長元屋だった。ちょっと広くなった三叉路で、バスは切り返して方向転換していた。
63.温海川長元屋17:03→17:58鶴岡駅前(庄内交通) 1020円 庄内22あ・256 三菱/新呉羽
温海川の庄内交通 温海川長元屋バス停  やって来るバスにカメラを向けていたからか、乗り込んでしばらくすると運転士さんから「同業者ですか」と聞かれる。「いやぁ、路線バスで旅するのが好きで、自分の乗ったバスの記録をとっているだけです」と答える。
 ずっと国道を行くものと思っていたら、途中からバス1台の細道に入っていく。そして、その細道を走っていくと、突然温泉街の中に飛び出した。ここが、湯田川温泉の中心地だった。
 温泉街を抜けると、バスは国道を横切ってまっすぐ進む。湯田川温泉リハビリテーション病院という長い名前の停留所で、お客さんが1人乗ってきた。これで、ようやく乗客が2人になった。来た道を国道まで戻り、今度は国道を鶴岡へ向かって走っていった。
 ずっと山の中を走ってきたからか、鶴岡の市街地がずいぶん大きく感じられる。すれ違うバスは、カラフルな黄色や赤のバスが多い。今乗っているのは、庄内交通の旧塗色だそうで、このカラーもだいぶ少なくなったのだとのこと。

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