第2日 〜2008.12.26(金)〜

福良→郡家→岩屋(西岸の旅)

9.福良7:10→7:25淡路島南IC(淡路交通)380円 神戸230あ・574 三菱
福良の淡路交通 高速バスの中ドア  2日目は、舞子行きの高速バス、舞子・福良線に乗っていく。一般道を走る淡路島南ICまでは、フリークーポンで乗車できるとのこと。
 この路線に使われているのも、前中ドアのハイデッカーバス。窓のない鉄板だけの中ドアが開いて、すでに乗り場に停まっていた。車内は、補助席付きのリクライニングシートがズラリと並んでいる。途中で降りるので、前の方に座って行こう。
 時間になり福良を発車する。一番前の席に座っていた女性が「インターで徳島行きに間に合いますね」と確認している。鳴門海峡を挟む、福良と鳴門を結ぶ路線はなくなってしまったが、そんな乗り継ぎで福良と鳴門・徳島が行き来できるようになっていたのかと感心してしまった。
 運転士さんも、大丈夫と答えている。こういう乗り継ぎを想定したダイヤになっているのだろう。
 途中からの乗車も1名あり、3名の乗客を乗せて福良の街を離れる。道は登り坂になり、カーブも連続してくる。大鳴門橋もすぐそこにあるようなのだが、なかなか景色が開けない。
 大鳴門橋記念館の標識が道端に見える。福良から無料送迎バスも出ているので、時間があれば行きたかったのだが、西海岸のバスは本数の少ない区間が多く、昨日の沼島同様、今回はあきらめるしかなかった。
 淡路島南インターの標識を右折して、さらに登り坂を行く。料金所の手前にバス停があった。バスを降るとすぐに後ろから徳島行きの特急バスがやってきた。車両は、あのワンステップバス。一緒に降りた女性は、そのバスに乗っていった。ワンステップバスが大鳴門橋を渡っているのだ。
前中ドア高速バスの車内
10.淡路島南IC8:45→9:22玉青館前(らん・らんバス)300円 神戸230う・200 三菱
淡路島南ICのらんらんバス 大鳴門橋  この日、一番辛かったのが、この1時間以上のバス待ち。風が強くとにかく寒い。待合室風の建物はあるものの、足下は吹きさらしで風が吹き抜ける。折り返しになるらん・らんバスが、発車時刻のかなり前にやってきたときはホッとした。
 途中で大鳴門橋が見えるものの、バスは狭い道を右に左に曲がりながら走っていくから、なかなか写真が撮れない。やっと撮れても、こんな風に端が切れてしまう。
 この路線、とにかく地元のお年寄りの乗車が多かった。それぞれ、目的の病院や医院の前のバス停で降りていく。いつの間にやら自分だけになってしまった。
淡路島南ICのらんらんバス
玉青館(入館料 300円)
玉青館 玉青館スタンプ  玉青館前バス停で降りたものの、目指す玉青館の場所がわからない。運転士さんにたずねると、手前の交差点を曲がって登っていくのだそうだ。
 歩いて行くと、けっこう登る。カーブしている坂を登りつめたところに大きな建物があり、これかと思ったが違っていた。まだ先らしい。左手にこの美術館と関係ある、国清禅寺が見えてきた。そこから少し行くと、ようやく池のほとりに建物が見えて来た。
 入口で300円の入館券を買って中に入る。暖かい。ホッとする一瞬だ。ここは、南画界の第一人者、直原玉青(じきはらぎょくせい)画伯の絵画をコレクションする、現代南画の美術館とのこと。入ってすぐのところ、ピアノのある広間に雲龍の天井絵がある。
 この絵の見方の説明が、学芸員の方からある。これが、なかなか感心してしまう仕掛けがあった。天井を見上げてみる。床に映った絵を見る。さらに一歩下がってみる。1つの絵に、これだけたくさんの鑑賞方法があるんだと、感心してしまう。
 直原氏の代表作「禅の牧牛 うしかひ草」をゆっくりと鑑賞していると、残念ながら時間切れ。2階にも展示室があるようなのだが、そちらはほとんど見ることができなかった。
 11時を過ぎて、そろそろバスの時間が気になり出した。再び荷物を背負って、さっき登ってきた坂道を、バスが走る道まで下っていく。
玉青館入館券
11.玉青館前10:13→10:19湊(らん・らんバス)300円 神戸230う・200 三菱
玉青館前のらんらんバス 玉青館前バス停  コミュニティバスの運賃というと、100円均一とか200円均一など、1コインか2コインで乗れるものがけっこう多い。南あわじ市のコミュニティバス「らん・らんバス」は、大人1乗車300円とちょっと高めの設定。運賃区部も細かく、後期高齢者と中高生は200円、小人と障害者が100円となっている。
 全部で5コースあり、昨日来川から乗ったのは「すいせん号」。今日乗っているのは「せい太くん号」。他に「しづおり号」「さんちゃん号」「うずしお号」がある。それぞれ、経路が重なっているところがあるが、乗り継ぎ券の発行はなくそれぞれに運賃が必要なのだが、2乗車分の運賃で1日券を買うことができる。
 そこで、淡路島南ICで乗車するときに、1日乗車券を買っておいた。車内で販売するには、手書きでなく日付入りのスタンプを押すなど丁寧なきっぷだった。
 やってきたバスは、昨日「すいせん号」で乗ったのと同じ車両だったのだが、前面に貼ってあるプレートは、昨日の「すいせん号」から「せい太くん号」にちゃんと変えてあった。
 乗客はなく、先ほどと同じ運転士さんに挨拶して乗り込む。先ほど通った道を戻っていく。スーパーの駐車場に入る。先ほど通ったときは開店前だったが、すでに営業時間になっている。しかしながら、乗降はナシ。
 西淡庁舎前を過ぎて、三原川にかかる御原橋を渡る。これがなかなかすごい橋で、欄干などに淡路瓦が使われた、ちょっとゴージャスな橋だった。
 その橋を渡って右折したところが、淡路交通との乗り換え停留所、湊だった。バス停の位置は若干異なっていて、らん・らんバスがスーパーの前。淡路交通はその向かいにある、かつてバスターミナルだったらしい広場だった。駐車スペースには2台のバスが休んでいた。
らんらんバス1日券
12.湊10:35→10:47鳥飼浜(淡路交通)300円 神戸200か17−55 いすゞ/J-BUS(ワンステ)
湊の淡路交通  これから西海岸沿いに淡路島を北上するには、何本かのバスを乗り継がなければならない。途中の郡家までは本数が少なく、これからの乗り継ぎが唯一といっていい乗り継ぎなのだ。
 まずは、鳥飼浦まで海沿いを行き、そこから島を横断して洲本へ行く、鳥飼線のバスに乗っていく。次に乗るのはアスパ五色と郡家を結ぶ、郡家アスパ五色線。この本数が1日4本と少ない。
 両方の経路は、五色浜〜鳥飼浦で重なっているから、そのどこかで乗り換えればいいのだが、とにかく風が強い。待ち時間が40分ほどあるので、風よけができる場所がいい。発車前に運手士さんに相談すると、五色浜は止めた方がよい。鳥飼浜なら店の前なのでよかろうとのこと。
 湊を出たバスは、左手に慶野松原を見ながら走って行く。キャンプ場や海水浴場もあるようなので、夏場は賑わうのだろう。やがて、南あわじ市から洲本市に入る。やがて道は海沿いに出た。
 これがすごい。満潮なのだろうか。砂浜などまったく見えず、道のすぐ脇まで海水が押し寄せている。そんな波しぶきのかかるようなところに、五色浜バス停が立っていた。ここで40分待つのは不可能だ。やがて、道が少し海から離れて、海沿いに人家や商店が数軒建っているところが鳥飼浜バス停だった。
13.鳥飼浜11:23→12:00郡家(淡路交通)700円 神戸230あ・504 いすゞ(ワンステ)
鳥飼浜の淡路交通 西海岸の風景  鳥飼浜バス停は、商店の前にあり小さなベンチも置いてあった。何も知らずに五色浜で降りていたら大変なことになっていただろう。
 1日4本しかない路線に、40分弱の待ち時間で乗れるのだから、風と寒さは我慢しよう。
 この郡家アスパ五色線は、洲本や福良、岩屋といった東海岸の町と結ばれていない唯一の路線。本数だけでなく利用客も少ないのだろう。
 五色庁舎のすぐ近くにある、五色バスセンターに到着した。高速バスへの乗り換え停留所だが、ここからも乗ってくる人はいなかった。五色の街を出ると、いったん山側にある高田屋嘉兵衛公園へ立ち寄る。ここの駐車場に高速バスが休んでいた。時間があれば下車して寄っていきたいのだが、1日4本ではどうしようもない。
 五色から郡家までは、ほぼ海沿いの道を走って行く。相変わらず風は強く、波しぶきが道路にまでかかっている。細かな水滴になった海水が、容赦なくフロントガラスを襲う。だんだん、正面の眺めが悪くなってきた。大きく波がかかり、道路がびしょびしょに濡れているところは、対向車が切れるのを待って反対車線を走ることも何度かあった。
 次のバスへの乗り継ぎ時間が2分しかなく心配になったのだが、次に乗り継ぐ西浦線とは接続をとるようなので、写真を撮る時間があるかどうかはともかく乗り換えは大丈夫なようだ。
 そろそろ時間と思った頃、ようやく街中に入っていった。志筑方面との交差点には一宮郵便局が建っており、そろそろ一宮の中心、郡家バス停に着くのだろう。そう思ったのだが、バス停はもうちょっと先で、ここもバス数台が停められるスペースのある広さだった。
波しぶきが道路にまで届く
2009年9月30日限りで郡家アスパ五色線は廃止。この路線だけが走るアスパ五色〜五色浜と五色バスセンター〜郡家間は代替路線なし。
14.郡家12:07→12:33震災記念公園前(淡路交通)580円 神戸200か11−76 いすゞ(ワンステ)
郡家の淡路交通  志筑から島を横断して郡家へ、そこから西海岸を走って岩屋へ行く、西浦線のバスに乗り換える。バスは5分ほど遅れてやってきたので、余裕で乗り換えることができた。
 先ほどのバスとは違って、今度のバスは乗客がそこそこ乗っている。本数もほぼ1時間に1本あるから、先ほどの路線とは違って利用客もそれなりに多いのだろう。
 海沿いを走るところでは、相変わらず風が強いのが波の様子でわかる。集落のあるところでは、かなりの頻度で乗り降りがある。数人乗っては数人降りるを繰り返していく。車内の乗客数は、大きく増えるでも減るでもなく、バスは走っていく。
 このまま岩屋まで乗ってゴールではつまらない。2008年3月にリニューアルした震災記念公園の野島断層保存館を見学したいのだが、残念ながら今日は年末の臨時休館日。
 それなら昼食にしよう。北淡町には地元の海の幸を出す店が数軒あるらしいのだが、ここはやはり淡牛丼にしよう。淡路牛と淡路島特産のタマネギを使った「淡牛丼」が、今売り出し中のメニューらしい。専門のウェブサイトもできていて、島内で食べられる店の紹介が載っていた。
和千里で『淡牛丼とそばのセット』で昼食
和千里の淡牛丼のセット 和千里の建物  北淡町で「淡牛丼」が食べられるという「和千里」という店。どうやら震災記念公園の近くらしい。バス停で降りて見渡すと、何のことはない、バス停のすぐ北側にあった。
 中に入って、牛丼とそばのセットを注文する。和食全般を扱っているけど、本来は蕎麦屋さんらしい。
 それで、でてきたのがこれ。牛丼には刻み海苔が載って、山椒がかかっている。チェーン店の牛丼とはまったく別の食べ物。脂肪分の少ない赤身の牛肉には、この食べ方があっているようで、とてもおいしかった。
 おそばの方も細めで固め。丼と一緒に出す温かい汁そばには、この方がのびなくていいのかも。どちらもおいししくいただいて1100円でした。
15.震災記念公園前13:31→13:47道の駅あわじ(淡路交通)490円 神戸200か15−81 いすゞ/J-BUS(ワンステ)
震災記念公園の淡路交通 震災記念公園バス停  1時間後のバスに乗って、今度は島の北部、ちょうど明石海峡大橋の下にある道の駅「あわじ」を目指す。
 道路は海沿いを走るところが多く、風の強さは変わらないようだ。海の向こうには、明石だろうか、町並みや工場の煙突がハッキリと見えるようになってきた。
 やがて、ほぼ淡路島の北端になる江崎灯台バス停を通過する。道路脇に白い灯台が見えるものの、これは公園の作り物。本物の灯台は山の中腹にあり、1871年4月に初点灯したままの姿で建っているのだという。
 車窓へ目をやれば、正面から左側に明石海峡大橋が見える。ついに、淡路島をほぼ一周してきたのだなという実感がわく。
 道の駅「あわじ」バス停は、道路上ではなくちょうど明石海峡大橋の真下にあった。信号を左折して、小さなバスターミナル風になったロータリーがあり、そこにポールが立っていた。もちろん、降りたのは自分だけ。
道の駅『あわじ』
明石海峡を行くフェリーと高速船 明石海峡大橋  道の駅の建物の明石海峡側は、広い芝生になっていて、明石海峡の間近まで行けるようになっていた。そして、すぐ脇には明石海峡大橋がある。
 写真を撮ろうと思うのだが、近すぎて横位置では全部を入れることができなかった。数値とか写真ではわかっていても、近くで見て初めてそのスケールの大きさを実感することができた。
 まだ少し時間があるからと、海沿いまで行って船を眺める。昨日乗ったジェノバラインの高速船がとても小さいことが、たくさんの船を眺めることでわかってくる。同じ明石と岩屋を結ぶたこフェリーの方が、高さだけなら倍以上あるではないか。
 もちろん、もっと大きな貨物船も行き交い、眺めているだけならまだ数時間いても飽きないだろう。しかしながら、そろそろ次のバスの時間と、その場を離れて先ほどのバス乗り場まで戻ることにした。ちょっと時間配分をあやまり、最後は急ぎ足になっていた。
道の駅きっぷ
16.道の駅あわじ14:09→14:12松帆の郷(淡路交通)150円 神戸200か17−53 いすゞ(ワンステ)
道の駅あわじの淡路交通  バス停に戻るとの、バスがロータリーに入ってくるのがほぼ同時。あわててカメラを用意したので、しっかりピントを合わせる時間がなかった。残念。
 バスの乗客は数名。次の大谷川バス停までは、先ほど乗ってきた道を戻る。そこから左折して丘の上へと登っていく。
 坂道を登って左に曲がったところが、終点の松帆の郷。その前に建っている建物が「松帆の湯」という温泉施設。バス停名と施設名が微妙に異なる。もちろん、旅の最後にこの温泉に入りに来たのだが、その前にバスの撮影。
 ベンチもある屋根付きの立派なバス停があり、その前に停まるバスを、一段高い駐車場から狙ってみる。温泉の建物があるから、明石海峡大橋と一緒に撮れないのは残念だが、どんなところへ来たかがわかるからいいだろう。このときはまったく知らなかったのだが、3ヶ月後に廃止になってしまうとは。
2009年3月31日限りで松帆の郷シャトルは廃止。この路線だけが運行する、大谷川〜松帆の郷間は代替なし。
入浴 美湯(ビュー)松帆の湯 入浴料600円(インターネット割引)
松帆の湯から見る明石海峡大橋 たこフェリー  旅の最後に、温泉でひと休み。入口に券売機があるものの、割引料金のボタンがない。どうしようかと、インターネットの割引券を持ってフロントでたずねると、こちらで対応とのこと。他でも使ったことあるけれども、インターネットの割引券って意外と利用されていない気がする。
 温泉は気持ちよかったけれども、それ以上に露天風呂や売店脇のテラスからの眺めがよかった。
 道の駅からは大きく感じられたたこフェリーも、丘の上から見るとおもちゃの船が行き交うようにも見える。橋と比べると、大型タンカーがいかに大きいかもわかってくる。1時間ほどの時間を、温泉入浴と海峡見学に当てて、旅の最後をじっくりと楽しんだのだった。
17.松帆の郷15:21→15:31岩屋(淡路交通)230円 神戸200か17−53 いすゞ(ワンステ)
松帆の郷の淡路交通 松帆の郷バス停  今回の旅、最後に乗るのは「松帆の郷シャトルバス」という路線。松帆の郷〜岩屋〜南鵜崎団地と、淡路島の北の玄関、岩屋をスルーして走る路線だ。
 やってきたのは、先ほどここまで乗ってきたバスと、車両も運転士さんも同じだった。もう一度、上の駐車場から写真を撮っておく。
 ここから乗り込んだのは自分だけ。温泉の利用者はそこそこいたのだが、みんな自家用車のようだ。運転士さんから声をかけられる。2日間淡路交通を利用したけど、景色もよかったし、運転士さんにもいろいろアドバイスしてもらって、楽しい旅ができたと答える。
 定刻に松帆の郷を発車する。すぐに坂を下っていく。右手に見えた明石海峡大橋がどんどん上の方にいってしまう。
 道の駅あわじまでは、先ほど乗った道を戻る。その先が、今回の旅で初めて通るところだ。道の左手はすぐ海で、やがて港が見えて来た。片浜バス停を過ぎると、たこフェリーのあの真っ赤なたこが描かれた船体が見えて来た。
 ジェノバラインの岩屋港はバスターミナルと同じ場所だが、たこフェリーの岩屋港は、この片浜バス停が最寄りとのこと。たこフェリーの船は全部で3隻。いるかが描かれた「あさなぎ丸」、たこが描かれた「あさしお丸」。そして、絵がなくオレンジ色の「あさかぜ丸」。
 通常「あさかぜ丸」は予備船らしいのだが、今日は動いている。港にたこ柄の「あさしお丸」がつながれたままなところを見ると、今日は整備中なのだろう。たこ柄のたこフェリーが動いているのを見られなくて、ちょっと残念だった。
 次のバス停が、岩屋総合事務所前。そして、その次が岩屋だ。信号を左折して、ターミナルビルの前のバス停に到着した。終着でなく途中停留所になるのだけれども、ここで時間調整なのか、自分が降りてもしばらくバスは停まっていた。
2009年3月31日限りで松帆の郷シャトルは廃止。この路線だけが運行する、大谷川〜松帆の郷および鵜崎〜南鵜崎団地間は他路線での代替なし。
松帆の湯のある丘から下る

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