第3日 〜2008.1.12(土)〜

大沼公園→雷電温泉郷

8.大沼公園8:36→8:48峠下小学校(函館バス)220円 函館200か・369 日野/J−BUS(ノンステ)
大沼公園の函館バス 大沼公園バス停  昨日の夕方の飛行機で函館に入り、定期観光バスで函館山に登ってそのまま泊まり。今朝、JRのディーゼル普通列車で大沼公園へとやってきた。
 前回ここまで乗ったのは11月下旬。雪は降ってはいたものの、まだ根雪にはならず大半が溶けていた。しかし今日は違う。駅前はすっかり雪が積もっていて、アスファルトが全く見えない。車道も、轍以外は雪が残っている。
 鉄道とは違い、大沼公園から森方面へ直接行くバス路線はない。小沼の南端に、国道5号線との交差点付近に大沼隧道バス停がある。ここで森方面との乗り換えはできるのだが、何もないらしい国道脇で2時間待つ行程は、この時期にやるのは無謀だ。
 最初は、峠を下って七飯役場通バス停まで乗って、街中で時間を過ごそうかと思っていた。いろいろと調べてみると、そこまで行かずとも峠下の「昆布館」という、工場と資料館を兼ねた施設があることがわかった。営業は9:00からとのことなので、ちょうどよい。ただ、どのバス停で降りればよいのかわからない。
 時間になってやってきたのは、ノンステップバス。朝の1便は急行なのだが、とくにそのような表示はなかった。車内は11月に乗ったようなリクライニングシートではなく、ごく普通のノンステップバスだった。大沼駅前を過ぎると、右手にJR函館本線と小沼が見えてくる。小沼は真っ白だ。車内に「大沼隧道」バス停を告げる放送が流れる。今走っている県道側には歩道があるが、国道側は歩道がなく雪が路側に積み上がっている。とてもバス待ちをできる状況じゃない。ここで乗り換える行程にせずによかった。
 大沼トンネルを出て、下り坂をどんどん下っていく。降りたところが峠下地区。昆布館の住所は峠下だが、どのバス停が近いのか。とりあえず始発バスもある峠下小学校で降りた。
大沼公園駅
徒歩 峠下小学校→昆布館前(約600m)と昆布館見学
昆布館の看板 峠下小学校バス停  峠を下った国道は、片側2車線の広い道路。歩道も両側にあるから、安心して歩ける。といっても、歩道は雪だらけだが。それでも、車道の雪はそれほどなく、路側に雪が積み上がっていることもないから、大沼付近に比べれば雪が少ないのだろう。
 途中にコンビニがあったので、温かいコーヒーを買ってホッと一息ついてから再び歩き始める。道路は直線だから、少し先の右側にそれらしき建物と看板が出ているのがわかる。あそこまで歩けばいいのだ。ちょうど9時を回ったところだから、時間的にもいいだろう。
 すると歩道になにやら立っている。あれっ、バス停かな。行ってみると、そのものズバリ「北海道昆布館前」というバス停が立っていた。わかっていれば、もうひと停留所乗ったのに。でも、それじゃ9時の開館には早すぎたんだと、心の中で負け惜しみを言う。
 駐車場には、すでに観光バスが2台ほど停まっている。その後も、次から次へとバスがやってきては出て行った。物産館のトイレも、とても大きいものだった。こちらは2時間近くあるので、ゆっくり資料館から見学する。
 世界中に昆布の仲間はあるけれども、日本人の味覚にあう食用になる昆布っていうのは意外に種類が少ないこととか、日本近海の昆布もいろいろな種類があり、それぞれ適した用途があることなどが、とてもわかりやすく展示されていた。
 最後に受付で、ウェブサイトから印刷した、自家用車・レンタカーの方のみという「粗品券」を「ダメですかね」といって出すと「いいですよ」と粗品の昆布アメをいただくことができた。徒歩、自転車、バイク、路線バスの旅はもらえないのかと思ったのだが。
ドーム型映像ホールもある昆布館
9.北海道昆布館前11:01→11:42森駅(函館バス)700円 函館200か・・83 日デ/富士重工
昆布館前の函館バス 昆布館前バス停  2時間弱を昆布館で過ごした。まだ旅の初日だというのに、物産館でお土産を買ってしまった。重くはないがかさばる。冬だというのに昆布ソフトを売っていたので、これも食べてしまった。うっすら緑の昆布味ソフトクリームだった。
 バスは10:54なのだが、なかなかやってこない。手袋をしていても手が冷たくなる。ましてや、やってくるバスを撮ろうと、片手は手袋を外しているのでなおさらだ。
 ようやく7分遅れで、初回に函館から恵山登山口まで乗ったのと同じような、トップドアのバスがやってきた。乗客は数人といったところ。やはりドアが開くと寒いからか、入口近くよりも中程の席に座っている人が多かった。
 今朝下りた峠を登っていく。大沼隧道バス停を過ても、そのまま国道を行く。今度は小沼が右手に見える。すっかり凍って真っ白になっている。
 その少し先で蓴菜(じゅんさい)沼バス停があった。大沼国定公園には、大沼、小沼、蓴菜沼などの湖沼があると説明を聞くが、今まで鉄道の旅ばかりだったから、大沼と小沼を見る機会はあっても、蓴菜沼を見るのはこれが初めてだ。といっても、凍っていてよくわからなかったが。
 駒ヶ岳の西側を行く国道5号線は、思っていたよりもアップダウンが少ない。カーブもそれほどきつくなく、快調に走っていく。時々見える函館本線の方が、カーブが多く運転が大変そうだ。
 さて、このまま長万部まで乗っても、次のバスは16時前までない。次のバスでも間に合うので、どこかで降りて昼食にしよう。やっぱり森駅前で降りて「いかめし」を買いたい。
 やがてバスは国道を右折して、森の市街地に入っていく。ずいぶん狭い商店街に入っていくなと思ったら、そこが森出張所前バス停だった。ここで乗務員が交代し、乗ってくるお客さんもけっこうあった。森駅前は、もう少し先だった。
すっかり凍った小沼
10.森駅13:06→14:35長万部駅前(函館バス)1330円 函館22か・390 三菱
森駅の函館バス 雪景色にいかめしが鮮やか  やはり森駅は街外れのようで、近くに食堂が見あたらない。通りの向こうにラーメン屋さんが見える。雪の中歩き回るのもいやだし、あそこにしよう。
 どうやら駅から見えたのは店の一部で、奥に広い駐車場があって店内は賑わっていた。活気のある店だけあって、ラーメンもおいしい。体中暖まって、いったん森駅へと向かう。
 駅前の温度計は−4度を示している。雪も降ってきて、辺りは真っ白。そんな中「いかめし」の赤い幟とベンチが鮮やかだった。そして、駅の売店で「いかめし」を買う。そればかりか、いかめしグッズがたくさん並んでいるのだ。ストラップやらバッグやら。ついついつられて何点か買ってしまった。
 そろそろ時間と駅舎を出て、バス停で待つ。ここはバスが駅前ロータリーまで入ってきてくれるのでありがたい。4分ほど遅れてやってきたバスの塗色はオレンジ色、函館朝市の広告バスになっていた。
 車両は高速バスタイプで、ドア直後の席だけが1人掛けに変更されているけれども、それ以外は2人掛けのリクライニングシートが並んでいる。松前線や瀬棚線のバス転換時は、みんなこのタイプが導入されたのだが、更新はワンステップバスになってしまったようで、この旅でも初めてお目にかかった。
 先ほどの便は、森出張所でけっこう乗ったのだが、この便はとても空いていた。山が海まで迫っていて、国道と函館本線が噴火湾沿いに並んで通っている。鉄道と海を見ながら、快適なバス旅が続く。八雲駅前でもほとんど乗降がなく、数人の乗客を乗せて走っていった。森駅前から1時間半ほど走って、長万部駅前に到着した。
昼間でも気温はマイナス4度
11.長万部駅前15:50→16:44ゆべつのゆ(ニセコバス)1120円 札幌22か16−57 日野/富士重工
長万部駅のニセコバス 長万部駅前のバス停  長万部駅前でも1時間15分ほどの待ち合わせ。駅の待合室で待っていたのだが、「列車利用者以外の使用禁止」の貼り紙があちこちにあり、どうも居心地が悪い。売店で「かに最中」など買ってはくるが、居心地悪いのを我慢していることもなかろうと、駅前のバス乗り場のベンチへ移動する。
 もちろん屋外。寒いが精神衛生上はこちらの方がよい。森で買った「いかめし」と長万部で買った「かに最中」を食べたりしながら、バスがくるのを待つ。
 これから乗る寿都行きのニセコバスは、本土縦断バス旅でも乗った路線。長万部からしばらくは、路線の選択の余地がない。当時、1日3本あったバスも、今では1日2本。これから乗るのが、今日の最終バスだ。
 時間になり、やってきたのは観光タイプのバス。寒いからか、中程の席に座る人が多く、こちらは眠気覚ましも兼ねて一番前の席に座っていく。16時を回って、だんだん薄暗くなってきた。
 二股駅と開拓入口バス停の間で、お仕置きされているわけではないだろうに、一頭の馬が雪の中にたたずんでいるのが見えた。蕨岱で国道5号線と分かれ、道道に入り日本海側を目指す。追分バス停で、道道から日本海側を走る国道229号線<に入る。
 本土縦断の時は、終点の寿都まで乗ったのだが、今日は追分のある湯別地区にある「ゆべつのゆ」という温泉施設で降りよう。岩内行きの最終バスまで1時間ほどある。街外れのバスターミナルへ行くよりも、温泉に入って体を温めてから先に進もう。
長万部のカニ最中
12.ゆべつのゆ17:48→18:24雷電温泉郷(ニセコバス)970円 札幌200か・259 日野(ワンステ)
ゆべつのゆのニセコバス ゆべつのゆバス停  ゆべつのゆバス停は、温泉施設の玄関前。バスを降りればすぐに玄関だ。受付で大きなバッグを預かってもらって入浴する。入浴料は500円だった。露天風呂もあるが、何といっても風が冷たい。お湯は温かいのだけれども、顔に当たる風の冷たさに、何分も入っていることができない。
 内湯でゆっくり温まって、最終バスに乗り遅れてはと、少し早めにあがってロビーでバスを待つ。最終バスに乗る人なんて、どうせ自分だけだろうと思っていたのだが、これは予想が外れた。温泉帰りの人が自分を含めて6人も待っていたのだ。
 やってきたのは、前中ドアのワンステップバス。普段はこの路線に入らない車両なのか、方向幕は真っ白で前ドア脇に「岩内」というプレートを出している。地元の方も、あまり見慣れないバスなのか「ずいぶん都会のバスが来た」と言っていた。
 もう外は真っ暗。景色はほとんどわからないが、明日の行程を考えると、もう少し進んでおく必要がある。本土縦断の時は昼間に乗った路線だから、とりあえずよしとしておこう。
 途中で老夫婦が降り、若い外国人女性の3人組が降りると、車内は自分だけになってしまった。通過されてしまっても困るので、運転士さんに雷電温泉郷で降りる旨を伝えておく。
 小さなトンネルを抜けると、寿都町から蘭越町に入る。川を渡ると港町バス停。ここから蘭越駅まで蘭越町の町有バスがあり、蘭越まで行けばニセコ行きのニセコバスもあるのだが、どちらも本数がきわめて少ない。町有バスは休日運休なので、明日は利用することができない。もとより、港町付近に泊まらない限り利用することができない。
 蘭越町からトンネルを抜けると岩内町で、岩内町に入ってすぐが雷電温泉郷だ。温泉郷というくらいだから、温泉旅館が建ち並んでいるかと思えば、今では残っているのはホテル観光かとう1軒のみ。バスが走り去ると、トンネルの明かりの他はわずかな街灯があるだけだった。
雷電温泉郷を走り去るバス
宿泊 ホテル観光かとう
夕食  国道沿いの雷電ホテルは廃業してしまい、その上の一段高いところにあるホテル観光かとうが、雷電温泉唯一の宿だ。真っ暗な中に海鳴りの音が響き、正直心細い。わずかな街灯だけをたよりに、坂道を上っていく。
 ようやく玄関にたどり着いたときは、ホッとした。自家用車が何台か停まっているので、他にもお客はいるようだ。先に食事と温泉どちらにするか聞かれたので、ゆべつのゆに入ってきたこともあるし、食事にしてもらうことにした。
 予約をするとき「8000円と1万円とありますが、どちらにします」と聞かれ、1軒しか残っていないホテルだもの、がんばってくれよと、つい「1万円で」と答えてしまった。そしたら、その夕食がこれ。
 1人なのに、お膳が2つですか。バターが載っているのは、エゾアワビですか。毛ガニも半身あるじゃないですか。刺身に鍋に焼き魚。残さないのが私の流儀です。たっぷり1時間はかかりました。

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