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第7日 〜2002.5.4(土)〜

長門市駅→浜田駅

40.長門市駅8:15→8:46通(防長交通)580円 山口22う30−77 日野
長門市駅の防長交通  このゴールデンウィークは、天気がよくない。今朝もどんより曇っている。青海島は、本土と青海大橋でつながっている。島を一周する道路はないから、出戻りになってしまうけれども、島の一番奥まで行くバスに乗ってみよう。青海島へは、サンデン交通と防長交通が乗り入れていて、どちらも山口バスカードが使えるからその点は便利だ。
 島の一番奥の集落は通(かよい)というところ。まずは、防長交通の通行きで、一番奥までいってみる。やってきたのは、前ドアの小型バス。先客はおばあさん1人。そのおばあさんも仙崎の手前の病院前で降りてしまい、青海大橋を渡るときには、自分1人だけになっていた。
 運転士さんは話し好きで、いろいろと青海島のことを教えてくれた。実は19年前、まだ青海島ユースホステルがあるころ来たことがあるのだが、その頃とはずいぶん変わったという。青海島は崖が海まで迫っているところが多いので、海岸沿いを走る道はほとんどなく、起伏の多い道が島の中腹を走っているところが多い。それでも島の中ほどの紫津浦に面しているところと、終点の通付近は堤防越しに海を眺めることができた。
 終点の通バス停は、漁港のさらに先の集落の一番奥、道路沿いにあった。
41.通8:50→8:53通漁協前(防長交通)160円 山口22う30−77 日野
通の防長交通 通漁協前バス停  ここまで乗ってきたバスの折り返しになる大ケ迫行きに乗って、少し手前の通漁協前まで戻る。ちなみに大ケ迫というのはどこなのだろうと調べてみると、昨日通った湯本温泉の南で、長門市と美祢市の境界に近いところだった。
 このまま青海島を出てしまうのはもったいない。どこかで降りて、何かしらの見学をしたい。この通集落には、「くじら資料館」がある。この青海島は、かつて沿岸捕鯨をしていた土地なのだ。
 通漁協前までは、バスに乗ってしまえば、わずか3分で到着してしまった。バスならわずかだが、歩くと30分近くはかかるだろう。通を発車する直前に雨が落ちてきたから、たとえ短い区間でもバスに乗れたのはありがたいことだ。
 資料館は目の前だが、開館時間が9:00からなので、しばらく漁港の風景などを見て過ごした。
見学 くじら資料館
くじら資料館 くじら資料館の入場券  このバス停の前に建っているのが「くじらの博物館」。鯨関係の資料館は、太地(和歌山)、岩手船越(岩手)、大洗(茨城)と行ったことがある。くじら関係の資料館としては、4館目の訪問になる。
 ここは沿岸捕鯨の資料と、通での捕鯨の歴史が充実していた。建物が小さいため、定期的に資料の入れ替えをしているとのことで、すべてを見られないのが残念だった。
 博物館の裏手の小高いところには、くじらの胎児のお墓があるとのこと。くじらを資源としてでなく、その恵みに感謝をしいたことの証だろう。くじらのお墓があるのは、世界的にもここだけらしい。
 お墓だけでなく、鯨位牌と鯨鯢過去帳というものがあって、鯨墓と三位一体で捕鯨をしなくなった今日でも毎年回向が行われているのだとか。
 開館時間になったので、200円の入館券を買って、まずは1階から見学する。といっても、1階には大きなパネルがあるだけで、詳しい展示は2階とのこと。
 2階には写真や資料がたくさん展示されていた。北浦の捕鯨と鯨組、通浦と捕鯨、鯨の解体、船用具の伝統、通浦の歴史と暮らしと順番にコーナーを見学していく。ここで行われていたのは、古式捕鯨の「網取り捕鯨」という方法で、網を使って鯨を捕っていたのだとのこと。捕鯨というと、銛で突いて捕るのだと思っていたから、そういう方法が行われていたのを知って勉強になった。
 資料館を出て、その隣にある鯨胎児のお墓に行ってみる。きちんと説明板があり、ここには捕獲した鯨から出てきた鯨の胎児72頭が眠っているのだとのこと。国の史跡に指定されていて、毎年回向が行われているのだという。2002年は、下関でIWCの会議が開かれた。
くじらのお墓
42.通漁協前9:58→10:21観光船のりば(サンデン交通)480円 山口22う20−38 日デ/富士重工
通漁協前のサンデン交通  博物館も見終わって、今度はサンデン交通の湯本温泉行きに乗っていく。青海島は長門市の一部とはいえ、それほど大きな島ではないのに、一番奥の通まで防長交通・サンデン交通各8往復と、けっこうな本数のバスが走っている。途中の鏡ヶ浦や島の入口の大泊までの便もあるから、島と本土を結ぶバス便は相当な本数になる。
 やってきたバスは、ナンバーと広告塗装から、昨日俵山温泉から乗ったバスとまったく同じだということがわかった。
 行きよりもバスが大きくなった分、座席の位置も高くなり、それに伴って少しだけ視線が高くなった。そのちょっと高くなった位置から外を眺めれば、行きには見えなかった海が見えたりする。再び青海大橋を渡って本土に戻った。
 今度は長門市駅まで行かずに、各方面への始発地点でもあり、青海島を海上から見学する観光船が出ている観光船のりばバス停で降りることにした。
 広い駐車場があり、たくさんの土産物屋が並んでいる。その奧に観光船の乗船場があるようだ。どうやら雨も止んだようなので、ロータリーになっているバス停のベンチで待つことにした。
43.観光船のりば10:43→11:52東萩駅(防長交通)720円 山口22う28−98 三菱/新呉羽
観光船のりばの防長交通  ここから乗るのは、青海大橋始発の快速東萩駅行き。青海大橋の南詰、本土側にあるバス停からやってくるからそれほど遅れることはないだろう。路線バスでもいろいろな種別があるようで、九州では「特急」と「急行」に乗った。昨日は「準急」というのに乗った。そして今度は「快速」。ただ、全区間普通とそれらが平行しているということはなく、一般道を走る長距離バスが都市部では主要な停留所だけ停車するためにつけられているようだ。でも、探せば全区間普通と急行が走っている路線なんていうところに出会えるかもしれない。
 やってきたのは、ごく普通の前中ドアの路線バス。昨日までの経験からいうと、急行以上でないと座席のいいバスは来ないということだろうか。せっかく止んでいた雨も、長門市駅を過ぎる頃から、また土砂降りになってきた。そんな雨の中、唯一の乗客が長門市駅の近くにあるフジ長門店前というショッピングセンターで降りてしまい、貸切状態になってしまった。
 それでも、国道から脇に入った湯免温泉で3人の乗車がある。。日帰りの入浴施設もあるようで、時間があれば立ち寄りたいところだが、今日はこのまま進むしかない。
 バスは国道191号線を行く。海沿いを行く山陰本線とは違い、ずっと山の中を走っていく。やがて登り道になり、トンネルをいくつか抜ける。鎖峠というところを越えると、いよいよ萩市に入った。道も下り坂になり、玉江トンネルという短いトンネルをぬけた。JR山陰本線の玉江駅に近いのかと思ったらそうではなく、次の停留所は奧玉江バス停だった。
 やがて赤い欄干の玉江橋を渡って、萩の市街地に入っていく。さすがにここまで来ると車が多い。観光客はみな自家用車なのだろうか。萩バスセンターで、自分以外の乗客は降りてしまった。でもここから中年のご夫婦が乗ってきたので、貸切にはならなかったが。
 定刻より4分遅れて、東萩駅に到着。でも、どこが快速だったのか、よくわからなかった。ほぼ全区間乗車したけれども、通過した停留所があったようには見えなかったのだ。もしかすると、市街地の経路が違うのかもしれない。
東萩駅に着いた防長交通
44.東萩駅12:30→12:36萩市(中国ジェイアールバス)150円 山口22う20−55 三菱
東萩駅のはぎ号  さあ、お昼だ。東萩駅前のビルの一角にある村塾ビールへと足を進める。多少の空席があり、すぐに席に着くことができた。でも、壁で仕切られて店ではなく、商店の一部にテーブルと椅子が置かれただけのような造りで、そとから食事をしているところが丸見えで、ちょっと落ち着かない雰囲気はある。
 枝豆をつまみに上面発酵ビールの3種お試しセット。ここのヴァイツェンは風味に欠ける気がするものの、結局グラスで追加してしまう。田万川町産ソーセージ盛り合わせとドイツパンも注文して、これが今日の昼食。
 意外と早く済んでしまった。次のバスはここから乗ろうと思っていたのだが、これなら始発のバスセンターまで行っても間に合いそうだ。同じビルの中にある防長交通の案内所で「一番早くバスセンターに行くには」とたずねると「あれが一番早いです。150円で行きます」と駅前に停まる、特急バス「はぎ」号を指さす。
 特急バスなので、次が萩市。JRバスの言う萩市は、萩バスセンターとまったく同一の場所。小郡行きの特急バスを1区間で降りる人など、私以外にはいなかった。
45.萩バスセンター13:15→15:06益田駅(石見交通)1720円 島根22き13−20 三菱
益田駅に着いた石見交通 屋根のある萩バスターミナル  萩と益田を結ぶ急行バスに乗る。防長交通と石見交通の共同運行で1日3往復、今度の便は石見交通の担当だ。
 萩バスセンターは、古いながらも立派なターミナル。鉄製の屋根がある、そこから行灯式の番線表示が下がっていた。益田行きの急行は3番線から発車とのこと。やっぱり急行以上はいいバスになるようで、やってきたバスは先ほどの「はぎ」号と同じ、リクライニングシートのバスだった。
 バスセンターを出発して、東萩駅に行くまでがひと苦労。その先も大渋滞。この先にある「萩しーまーと」に出入りする車で渋滞しているとか。実際に、その「しーまーと」の入口までのわずか数キロに30分もかかった。ここを過ぎれば、バスは快調に走っていく。
 東萩駅の次の停留所は越ヶ浜入口。この辺りは鉄道から離れたところ。静かな入り江が広がっている風景は、バスに乗らなくては眺められない風景だ。奈古駅前でも乗車はなく、次の停留所は須佐駅前。運賃は300円台から一気に1000円台に上がった。この上がり方にもビックリ。
 そして、その須佐駅前では鞄を提げたおじさんが待っていた。どうやら、石見空港で飛行機に乗り継ぐようだ。山口県最後の停留所は、田万川町の江崎本町停留所。ここを過ぎて、田万川トンネルを抜ければ、山口県から島根県へと入っていく。
 島根県に入って最初の停留所が小浜駅口。その次が石見空港だった。運転士さんはたえず、飛行機の時間を気にしていたようで、間に合う時間に空港に着いたときにはホッとしていたようだった。そして、定刻28分遅れで浜田駅前に到着した。
日本海を眺めながら走る
46.益田駅15:55→16:52周布駅前(石見交通)880円 島根22き17−17 三菱
益田駅前の石見交通  益田駅からは浜田駅行きに乗っていく。待合室にはたくさんの人がいたけれども、ほとんどの人は15:50の広島行きに乗ってしまった。
 ここからは「しまねバスカード」が使える。前中ドアのバスがやってきて乗り込むと、床が木製なのに気づいた。以前はどこでも見かけたのだが、今回のバス旅ではこれが初めてだった。
 途中、三隅という街を通る。商店街がけっこうあって、お客さんの乗降もあるのだが、JRの駅は近くになさそうだ。しばらく走ると三保三隅駅の方角を示す看板が現れる。鉄道駅から離れている街もけっこうあるのだなと実感する。
 このまま乗っていけば浜田駅まで行けるものの、石見交通のウェブページを見ると、周布から先は本数も増え、経由もいろいろあるらしい。ちなみにこのバスは国道経由。このバスのすぐ後に商港経由というのがあり、これなら海の近くを通るかもしれない。
 運賃表に周布の文字が現れたので、ボタンを押そうと構えると、放送は「浜田営業所前」。あれ、もう一つ先かなと押さないでいると、その次は「周布駅前」。次のバスの運転士さんによると、周布と浜田営業所前は、同じなのだそうだ。
47.周布駅前16:58→17:28浜田駅(石見交通)290円 島根22き16−43 三菱
周布駅前の石見交通  乗車予定の商港・栄町経由の有福温泉行きは、隣の営業所が始発なのに2分遅れてやってきた。先ほどと同型のバスで、このバスも木の床だった。
 予想したとおり、バスは狭い旧道を走っていく。その道の両側には、古い商店が並んでいる。やがて海沿いにでると、港に立派な斜張橋が架かっている。向かいの島に発電所でもできるのかと運転士さんに聞いてみると、運転士さんは笑いながら教えてくれた。なんでも、海中公園を造ろうと立派な橋を架けたのだけれども、近くにアクアスというもっと立派な水族館ができてしまった。今さら海中公園を造ってもしかたなかろうと、橋だけ造って放ってあるとのこと。そんな理由があったとは。聞いてみなければ、わからないものだ。
 やがて、バスは国道に戻ると、今度は右側の細道に入っていく。やがて、三角形をした広場に出てきた。ここが栄町バス停。その三角形の広場の真ん中には、三角形の島があり、公衆トイレが建っていたり、タクシー乗り場があったりする。ちょっとしたターミナルになっていて、運転士さんのよれば「浜田の昔の中心街」だそうだ。
 再び国道に戻り、JRのガードをくぐって、バスは浜田駅前に到着した。

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