三次駅→小浦渡
56.三次駅7:05→8:04甲山(中国バス)1320円 福山22く・923 日野/西工 | |
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ゴールデンウィーク最終日になって、ようやく暖かくなってきた。どうやら雨は大丈夫なようだ。三次駅前のバス乗り場の時刻表を見ると、日祝日は壊滅的な路線が多い。備北交通のローカル便は軒並みGW期間中は全休になっている。 今日は中国バスの甲山行きに乗っていく。全国版のJTB時刻表にも、尾道と三次間の路線として書かれているものだ。やってきたのは、前中ドアの路線タイプ。回数券を買いながら、運転士さんは「今日は休日だから、ほとんどお客はない」という。 塩町を過ぎると、バスは旧道に入っていく。馬洗川に沿って走っていき、三良坂駅を通過する。少し国道を走る区間があったものの、大半が旧道を走って吉舎駅へと走っていった。 吉舎からはJR福塩線と分かれて、南を目指す。とにかくこの路線、集落があるとかならずといっていいほど旧道に入り、きちんと停留所に寄っていく。新しい道ができると、そちらを通って時間短縮を図る路線が多い中、丁寧に集落を回ってお客を集めようという姿勢は、今まで乗ってきた事業者の中では、一番だなあと感じたのだった。 1時間ほど走って、世羅町から甲山町に入ったところが甲山のバスターミナルだった。 |
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57.甲山8:20→8:36三川駅(中国バス)400円 福山22け・261 日野 | |
尾道行きはすぐの接続なのだが、今日は三原へ抜けてみようと思う。。三原行きまでは1時間ほど待ち時間がある。その間に、甲山町唯一のJR駅、福塩線備後三川駅までバスで往復することができる。なかなか来る機会がある町でもないし、せっかく休日も運転しているのだから、その枝線を往復してみよう。 やってきたのは、前ドアのリエッセ。車内で発車を待っていたら、やってきた運転士さんに「乗るのかい」と驚かれてしまった。休日の利用者は、ほとんどいないのだろう。甲山から広島までは高速バスも出ているし、わざわざ不便な福塩線の駅へ行く人は、普段でも少ないのかもしれない。 バスはきちんと整備された、国道432号線を走っていく。途中の井尾という集落だけは、右側の旧道に入って集落に寄っていく。家並みの中に馬を飼っているところがあって、バスのすぐ横を歩いているのが見えた。 その先で国道に戻り、右折すればもう備後三川駅だった。三角屋根の待合室の前では、地元の方が掃除をしていた。けっきょく、終点まで乗客はなく、私の貸切だった。 |
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58.三川駅8:38→8:55甲山(中国バス)400円 福山22け・261 日野 | |
せっかく駅までいったのだが、このバスに接続する列車がない。だからか、駅から乗ってくる乗客はなかった。 でも、そんなことはなかった。今度は、途中でおばさんが1人乗ってきた。途中で、自転車をこいでいる中学生を何人か追い越した。三川には中学はないようで、小さな峠を越えて甲山へ行かないといけないのだろう。今日は祝日だが部活動だろう。本数の少ないバスは中学生も相手にしてくれないのだろうか。 甲山の市街地の入口に、備北交通の車庫がある。小さいバスが3台ほど停まっている。あちらは日祝日運休だそうだから、ここ数日動いていないのだろう。 先ほど甲山を出てから35分ほどで、再び戻ってきた。 |
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59.甲山9:12→8:55三原駅(中国バス)1000円 福山200か・159 日野(ワンステ) | |
やってきたのは、前中ドアのワンステップバス。乗り込んでみると、新車のにおいがする。バスでも新車は乗用車と同じようなにおいがするのかと、妙に納得してしまう。 そういえば、行き先表示が幕ではなくLED表示になっているのも、この旅初めての出会いだ。運転士さんに「まだこのバス、新しいのですか」と聞くと「そうだな、まだ1ヶ月くらいかな」とのことだった。 定刻に甲山を発車。でて、わずか百メートルほどで、甲山町から世羅町に入る。もともと、甲山町役場と世羅町役場も500mほどしか離れていない。これほど役場が近い自治体というのも珍しいのではないだろうか。 その世羅町の病院に寄ったりしながらバスは走っていくが、車内は甲山から乗った2人だけ。またしても、こんなものかと思っていたのだが、そうではなかった。甲山からは広島行きの高速バスが出ているから、わざわざ三原に行く必要はないのだろう。しかし、途中の久井町に入ってからは、バス停で待っている人が何人もいた。このバスは、久井町の役場の方へは行ない室町経由なので、みな三原まで乗り通すようだ。 山陽自動車道の三原久井インターを過ぎてからの道がすごかった。海に落ちていくような、長い坂道が続く。しかも、谷に沿って、右に左にカーブしながら、かなりのスピードで下っていくのだ。座っているお尻が、左右にずれるのがわかるくらいのスピードだから、正直言って恐怖さえ感じるほどだ。正面に三原の街と海が見えるから、あそこまで下るのだというスリルがある。手に汗握る下り坂が終わって、無事に三原駅のお城側の小さなターミナルに到着した。 |
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60.三原駅10:45→11:00登山口(中国バス)390円 福山22く13−54 日野 | |
次は、三原市と尾道市の境の登山口というところまで行くバスに乗る。そこまで行くと、尾道行きのバスに乗り継げるのだという。中国バスと三原市営バスの共同運行とのことだが、次の便は中国バスの担当だった。 今度は駅正面のターミナルから発車する。やってきたバスの行き先表示は「福地(登山口)」。福地とはどこだと地図で調べれば、尾道市の一番西の端、三原市と接する地名だった。 バスは糸崎駅前を過ぎて、高架で山陽本線を越えると、瀬戸内海沿いを走る。この辺りは、国道2号線の方が鉄道より海側を走る。たくさんの島が見え、その島と島を結ぶ吊り橋も見える。あれが「しまなみ海道」だろう。でも、いったい何橋なのかわからない。(あとで地図を調べたら、因島と生口島を結ぶ、生口橋だとわかった) 終点の登山口は、国道の海側にアスファルトの広場があるところ。その真ん中に、待合室の小屋が建っている。脇を流れる川が三原市と尾道市との境界のようだ。降りるときに、尾道へ行くというと、黄色い紙の「乗継券」に日付を書き入れて渡してくれた。 |
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61.登山口11:09→11:19尾道駅(尾道市交通局)120円(乗継割引) 福山22く・692 いすゞ/川崎車体 | |
すぐに接続の尾道市営バスがやってきた。本州に入ってから初めての、モノコックバスだ。なんともなつかし雰囲気のする、今の角張ったバスにはないぬくもりを感じる。もちろん、車内の床は木製だった。 ここから乗ったのは2人だけだったけれども、市街地へ向かうバスだからか、停留所ごとに乗ってくる人がいる。たちまち、座席の大半が埋まってしまった。まだまだ老体にムチ打ってがんばらなくてはならないのだろう。 尾道の駅前は、大きなバス乗り場のロータリーになっていた。信号を右折してぐるっと回ってロータリーに入る。ほとんどの人がここで降りるようだ。 降りるときに運転士さんに先ほどの「乗継券」を見せると、運賃箱に貼ってある運賃表を確認して「120円ね」という。三原〜尾道の通し運賃は510円ということか。 ここからは「しまなみ海道」を通って今治を目指す。といっても、今回はそこまでは行けない。とりあえず、向に見える向島をバスで回ろうと、コインロッカーに荷物を収めて身軽になって、島へ向かうバスに乗ろう。 |
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62.尾道駅11:35→11:46東西橋(本四バス開発)430円 福山200か・・73 日野 | |
尾道と因島の土生港を結ぶバスに乗って、尾道水道の向かい浮かぶ向島に向かう。本四バス開発・因の島運輸と尾道市交通局の3社共同運行で、今度の便は本四バスの担当だった。急行とは書かれていないが、本土側も向島の中も停車する停留所は、それぞれのローカル便に比べると限定されているようだ。 まずは本土側を東に走っていく。浄土寺下を過ぎると、その先で尾道大橋への登り坂へと進んでいく。尾道水道に架かる橋は2本。尾道大橋と新尾道大橋だ。新尾道大橋は西瀬戸自動車道の一部で、尾道の市街地から直接入ることはできない。旧来からの尾道大橋を渡って向島へと入っていく。 向島は東側が尾道市、西側が向島町になっている。バスは尾道大橋を降りると、そのまま国道317号線を進む。ほぼ真上に西瀬戸自動車道が通っている。やがて、T字路に突き当たり、右折して坂を下ると、小さな橋を渡ったところが東西橋バス停だった。 この小さな橋が、尾道市と向島町の境界線。向島町の町域も含めて、島内は尾道市営バスが路線を伸ばしているので、時間まで島内路線に乗ってみよう。 |
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徒歩 東西橋バス停→兼吉バス停 約700m | |
向島島内のローカル路線は、渡船乗り場にもなっている兼吉をターミナルに運行されている。兼吉を出たバスは、かならず東西橋を通るから、ここで待っていれば乗れるのだけれども、せっかくだからバスの始発地点でもあるターミナルにも足を向けておこう。 商店街になっている一方通行の道を歩いて行くと、兼吉渡船の乗り場になっている兼吉に到着した。その広場の脇にバス停と待合室があった。 この待合室は、大林宣彦監督の映画「あした」で、呼子丸の待合室として使われていたロケセットを移築したものだそうだ。建物の中には、当時の撮影で使われた看板や小物も、そのまま展示されていた。建物の外には、監督の新・尾道三部作の第1作「ふたり」と第2作「あした」の向島内のロケ地マップが建っていた。 それこそ、学生時代(当然、パソコン通信もインターネットない時代)は今はなき尾道友愛山荘というユースホステルに泊まって、そこにあった転校性レポート、時かけレポートなる手書きの資料を写して、尾道や竹原のロケ地巡りなんかをしたことがある。このバス旅でも、九州で監督の映画「なごり雪」のロケ地になった重岡駅に寄れて、うれしく思っていたのだ。 今回は今日で終わりにして、自宅へ戻らなくてはならない。島内のローカル路線は、島西側の向島町域も含めて尾道市営バスが担当している。その向島町の東海岸を行く古江浜行き。向島町域の南側を行く江ノ浦行き。島の北部と中部を循環する島内循環線の3つの路線がある。 時間的にも、島内のローカル路線すべてに乗ることはできない。それでも、歌桟橋経由の古江浜行きと、岩子島経由の島内循環線に乗ってこようと思う。最後は小浦渡で降りて、そこから駅前渡船に乗って尾道駅へもどれば新幹線に間に合うだろう。 駅前渡船は、人と自転車しか乗れない小型の渡船だけれども、その小型を生かして水路をさかのぼっていく、尾道水道の渡船としてはなかなか興味ある渡船だ。たぶん尾道の渡船の中では、一番距離の運行距離が長い渡船だろう。 ローカル便の発車時刻まではまだ時間があるので、しばらく兼吉渡船が行ったり来たりするのを眺めて過ごす。今思えば、この時間に渡船を往復してくればよかった。 |
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63.兼吉12:25→12:43古江浜(尾道市交通局)230円 福山22く10−85 いすゞ/IK COACH | |
やがてバスがやってきて、古江浜(こえはま)の行き先を出す。運転士さんに、趣味で景色を見ながら往復乗るので、よろしくと伝えておく。 定刻に発車したバスは、先ほど歩いてきた道をゆっくりと走っていく。まずは、島の東側、尾道市域を走るバスだ。でも、本当にゆっくり走る。時速30キロくらいだろうか。運転士さん曰く「今日は病院も休みで、年寄りも乗らないから、ゆっくり走っても早く着いてしまう」。道幅がある停留所では、しばし停まって時間調整。市営だからか、ダイヤはゆったりと作られているようだ。 学校や商店街のある向東地区を過ぎると、道は一段と狭くなる。対向車が来たら、すれ違えないほどだ。さらに狭い海沿いの道を走って歌桟橋に到着した。 乗用車1台がやっとという大きさの渡船が停まっていた。これが、歌と土崎瀬戸を挟んだ対岸の本土の戸崎とを結んでいる渡船だそうだ。実は、向島の対岸の戸崎瀬戸を挟んだ本土と、向島の東に浮かぶ百島にも尾道市域があるのだ。尾道駅前からも、尾道〜歌〜福田(百島)〜常石(本土・沼隈町)という航路が1日4本ある。 その小さな桟橋でUターンして再び細道を走り、小さな漁港と酒屋がある古江浜に到着した。 |
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64.古江浜12:50→13:09兼吉(尾道市交通局)230円 福山22く10−85 いすゞ/IK COACH | |
折り返しまでの時間は短いけれども、せっかく来たのだからと海の風景を眺めてくる。 同じバスで兼吉に戻る。先ほどのバスは、東西橋からおばあさんが1人乗ってきたのだが、今度も途中でおばあさんが1人乗っただけ。運転士さんの話によると、証明書のもらえる年齢になると、市営バスに1乗車30円で乗れるのだという。「今どき、30円じゃ子どもも喜ばないよ」という。しかも、フリー乗降区間を採用しているので、島内の狭い道の途中、自宅の近くで停めてくれというお年寄りが多くて、安全運転にとても気をつかうとのことだった。 東西橋から兼吉までの道は、今度は商店街ではなく川沿いの道を走っていった。商店街の道も広くはなかったので、行きと帰りでそれぞれ一方通行の運行をしているのだろう。 |
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65.兼吉13:15→岩子島→13:57小浦渡(尾道市交通局)400円 福山22く10−85 いすゞ/IK COACH | |
今度は島の西側、向島町域をぐるっと1周するバスだ。しかも、向島大橋を渡って岩子島(いわしじま)まで寄り道する数少ない便だ。 今度は東西橋まで出ると、右折して国道317号線を走っていく。大きなショッピングセンターを過ぎると、いったん右折して小浦渡バス停に寄る。帰りはここまで乗ることにしよう。 国道に戻って東富浜バス停。このバスは左回りの循環便なので、そのまま直進して県道へと入っていく。そのまままっすぐ進んで、海に突き当たったところが岩子島渡バス停。橋ができるまでは、ここから岩子島まで渡船が出ていたのだろう。 やがて赤いトラス橋の向島大橋を渡って、岩子島へ入っていく。この橋は、映画「ふたり」でマラソン大会の場面ででてきたところ。島内唯一の岩子島バス停では時間調整があったので、降りて写真を撮らせてもらうと、行き先表示は兼吉に変わっていた。 再び向島に戻ると、今度は島の中央部を通って東富浜まで戻る。島の南部はバスを運行するほど人口がないのかもしれない。2回目の東富浜で左折して小浦渡に着いたところで、バス旅の第2回を終わりにすることにした。 |
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渡船 駅前渡船:富浜(向島)→駅前 (向島運航) | |
小浦渡バス停前にある渡船乗り場から、駅前渡船に乗って尾道駅へ戻る。 駅前渡船は、人と自転車と原付しか乗れない。他の渡船の多くは、大型バイクや自動車も載せられるのだが、ここは違う。その分、渡船も小型なので尾道水道から川のようになった水路を入って、島の中まで300mほど入ってくる。 やってきた渡船に乗る。最初は川のように、両側に護岸がある。やがて目の前が開けて尾道水道に出る。といっても、正面にはもう尾道駅が見えているが。 その駅前の桟橋目指して、渡船は進んでいく。その航路を横切るように、自動車も載せられる福本渡船が横切って行った。駅前桟橋までは、わずか5分ほど。これども、尾道の渡船の中では一番長い航路だ。福本渡船なら尾道水道を渡るだけなので、3分で着いてしまうそうだ。 |