第1日 〜2009.7.21(火)前半〜

和倉温泉駅→羽咋駅

1.和倉温泉駅8:27→8:35和倉温泉(北鉄能登バス)170円 石川230あ・769 日野/J-BUS(ノンステ)
和倉温泉駅の北鉄能登バス  寝台特急「北陸」の金沢駅到着は1番線。乗り継ぐ七尾線の普通列車は、切り込み型になった4番線から。乗り換え時間が4分しかなかったものの、無事に乗り換えることができた。羽咋で乗客が入れ替わって、今度は高校生がたくさん乗ってきた。北陸の夏休みはまだ始まっていない。
 七尾でのと鉄道のディーゼルカーの乗り換えてひと駅、和倉温泉で降りる。テープの放送では「乗車券は駅係員に・・・」と言っていたのだが、前降りでドアに近づくと運転士さんがきっぷを拝見するとのこと。あわてて周遊きっぷの「ゾーン券」を取り出して降りる。
 この旅の最初の目的は「定期観光バス」に乗って、今では一般の路線バスが走らない「なぎさドライブウェイ」をバスに乗って通ること。その定期観光バスが出る和倉温泉へ行くのが、最初に乗車するバスになった。和倉温泉といっても、JRの駅ではなく温泉街にあるバスターミナルへ行かないと、その定期観光バスには乗れないのだ。
 やってきたのは「バスがんばってます」と、全国共通のバスマスクをつけたノンステップバスだった。乗客は2人。こんな時間に温泉街へ行く人は少ないのだろう。
和倉温泉 北鉄バスターミナル
和倉温泉ターミナル 定期観光バスの案内板  温泉街にある北鉄バスターミナル。ここが定期観光バスの発車地点になる。交差点に面してカーブした外観が、ちょっとレトロな雰囲気を醸し出している。今ではアルミサッシになっているが、昔はこれが木のドアだったのだろう。
 中には待合室と窓口がある。ここで、予約しておいた「ちりはま号」の乗車券を購入する。名前を言うとすぐに出してくれて、料金4600円(拝観料、昼食代込み)を払うと、コンピュータ印字のきっぷとパンフレットが渡された。
 待合室内には、電照式の時刻表がある。七尾駅行きのローカル便と金沢への特急バス。そして、下段には定期観光バスの案内も大きく載っていた。
 コースや本数が減ったとはいえ、定期観光バスは能登半島ではまだまだ看板路線なのだろう。
和倉温泉ターミナル
2.和倉温泉9:00→「定期観光ちりはま号」→13:22金沢駅西口(北鉄能登バス)4600円 石川230あ・826 日野
ちりはま号 指定席券  バスは発車の15分くらい前にはやってきて、所定の位置に停車した。運転士さんが「どうぞ」というので、ご夫婦に続いて乗り込む。
 渡されたきっぷの座席は1B。一人なのに通路側かと思って乗り込むと、1Bは最前列ドア側の1人掛けシートだった。どうやら、定期観光バスは特急バスとの共通運用のようだ。カバーが掛けられた運賃箱もあり、運賃収受がある特急バスで乗り降りがしやすいように、ドア側最前列は1人掛けになっているのだろう。
 発車時刻が近づいて、もう1組ご夫婦がやってきた。途中乗車地点はないから、本日の乗客は5人に確定。運転士さんに、今日の「なぎさドライブウェイ」の状況をたずねると「現時点では通行止めになっています。千里浜レストハウスまで行って判断しますが、場合によっては一般道迂回になるかもしれません」とのこと。これは、なかなか難しい状況だ。「なぎさドライブウェイ」を通りたいために、安くはない定期観光バスに乗っているのだが。
 観光バスとはいっても、ガイドさんは乗車せずワンマン運行。テープでの観光案内に運転士さんの肉声での解説が続く。発車してすぐの放送が「和倉温泉での一夜はいかがでしたでしょうか」と流れる。やはりこのバスのターゲットは、温泉の宿泊客なのだ。
バスの表示器
ちりはま号 和倉温泉→道の駅・とぎ海街道
北陸鉄道の廃線跡 トンネル  バスは和倉温泉駅へは向かわず、途中で右折してのと鉄道を跨いでいく。そして、のと鉄道と並行して走る道を行く。やがて右手に田鶴浜駅が見えてきた。そこを過ぎると、右手のかなり近いところに七尾湾が見える。
 しかし、七尾湾の景色もすぐに終わってしまい、その先の三叉路を左折して、いよいよ能登半島の日本海側へ向け、半島横断に入る。この辺りが、能登半島の東西の幅が一番狭いところとの解説がある。2007年の能登半島地震の影響が大きかったところだそうで、所々で波打って廃道になった道路を見ることができた。
 やがて国道249号線との交差点にやってきた。そこで右折して国道を走っていく。国道の右側にはサイクリングロードがあるのだが、これがかつて羽咋と三明を結んでいた、北陸鉄道能登線の廃線跡なのだ。(写真左上)
 三明の集落に通過する。どこに駅があったのかと回りを注意しながら見ていくが、その場所はわからなかった。廃止は1972年ともう35年以上も前のこと。建物の痕跡はないのかもしれない。サイクリングロードも消えてしまった。
 きれいな虹が描かれた富来トンネルを抜けると、いよいよ日本海側に出る。左手に日本海を見ながら進むと、さらに左側にある細道に入っていく。こんな大型バスが入っていいのだろうかという道を進んでいくと、左手にしめ縄が張られた岩が見えてきた。これが「機具岩(はたごいわ)」という名所だそうで、しばらく停車して車窓から見学する。大きい方が女岩、小さい方が男岩で伊勢の二見岩とは大小関係が逆なのだとか。
機具岩
下車見学 道の駅・とぎ海街道
道の駅きっぷ 世界一長いベンチ  最初の下車観光地は、道の駅・とぎ海街道。富来は岸壁の母のモデルになった端野いせさんの出身地ということで、道の駅内にも小さな資料館がある。また、一段高い海岸沿いの丘には『慈母の愛を讃える碑』と書かれた、岸壁の母の歌詞が刻まれた碑が建っている。
 この丘の下が、増穂浦と呼ばれる砂浜が続く海岸で、ここにはふるさと創生の一億円で造られた、世界一長い木製のベンチというのがある。正直言って、30分ほどの見学時間で回れるのはこれくらいが限界。
 ということで、まずは道の駅に行ってミニ資料館の見学。本当にミニで、5分もあれば見学終了。その後レジに行って道の駅きっぷを購入する。買い物は時間があったらということにして、碑とベンチを見学するため階段を上っていく。
 階段を上ってすぐのところに、岸壁の母の碑は建っていた。碑にある端野さんのお顔が、増穂浦の方に向いているので、碑の脇に立って自分も増穂浦から日本海を眺めてみる。曇っているし、まだ波も少し高いけれども、遮るものなくどこまでも広がっている。
 そのすぐ下に、あの世界一長いベンチが横たわっている。何でも460、9メートルあるとかで、ギネスブックにも登録されている。ただ出来てから20年以上経って、だいぶ傷みも出ているとか。観光バスの運転士さんによると、ようやく最近予算がついて一部の補修が終わったのだという。
 とりあえず、そのベンチの端を見ておきたいと、南東側の端へ行ってみる。こちらはすぐに到着した。反対端まで行ってみようかとも思ったけれども、観光バス同乗の他の方は誰もここまで上ってこない。まさかおいて行かれることはないだろうけれども、ちょっと心配になって、少しベンチに座っただけでバスに戻ってみる。
 まだ運転士さんだけで、車内に同乗の方はいなかった。それなら安心と、もう一度道の駅へ行って、地元のお菓子などを買ってきた。出発時刻まで、道の駅のベンチに座っていくつかを食べてみた。
世界一長いベンチ
岸壁の母碑
ちりはま号 道の駅・とぎ海街道→厳門
厳門の定期観光バス 厳門の定期観光のバス停  予定時刻には全員そろい、予定通り出発となった。次の下車見学地は厳門。ここから南へ戻る形になる。
 バスは来た道を戻っていく。しかし、機具岩への細道には入らず、そのまま国道のトンネルを走っていく。国道が日本海から離れるところで、右折して日本海沿いの県道へと入っていく。
 能登金剛の厳門が近づくと、バスは右側の細道へと入っていく。やがて目の前に厳門バス停が見えてきた。ところが、定期観光バスはそこへは停まらず、大きく右折してさらに下にある厳門ホテルの前へと入っていく。そこには、定期観光厳門と書かれたバス停が立っていた。
 運転士さんが「徒歩で見学する方、船で見学する方、どちらも自然に優しく人に厳しい遊歩道を歩いて行きます」と肉声放送を入れて下車となった。
2−1.観光船乗り場10:15→10:35観光船乗り場(能登金剛遊覧船)900円 がんもん(山共服部造船所)
乗船券 観光船  遊覧船は、乗船料1000円のところ、定期観光バス利用者は900円とのこと。ここまで来たからには乗ってみるつもりだったので、これはありがたい。ここは波もそれほどではないようで、遊覧船は運航中とのこと。
 バスの到着口で遊覧船会社の方が待っていて、乗船場へ続く遊歩道の入口まで案内してくれた。そこからが、本当に人に厳しい遊歩道だった。海岸までひたすら下りの階段が続いていた。ようやく船にたどり着くと、乗船料は後でいただくので、まずは乗るようにと指示される。
 乗り込んだのは、定期観光バスから3人と一般の方2人。船は前方が一段低い船室。後ろがオープンデッキという構造。なぜか、皆さん後ろのオープンデッキに乗っていく。出発してすぐに乗船券の販売があり、1000円札を渡すと「定期観光の方ですか」と確認して100円のおつりをくれた。
 一つ岩を回ると、そちらにも乗船場があった。今乗ったのが、レストラン厳門乗り場で、見えたのが千畳敷岩乗り場というらしい。値段が同じなら、少しでも長く乗れるのはちょっとうれしい。
 そのすぐ先が、厳門洞窟。ガイドブックには、船で洞窟に入るような記述があったのだけれども、舳先を少し入れただけで「この船は大型なのでこれより先には進めません」とのこと。辺りに見える船は、みんなこの大きさだから、今となっては洞窟へ入る遊覧船はないということなのだろうか。
 洞窟から出ると、次は鷹ノ巣岩を左手に見て、福浦港まで進んでいく。港の中には入らないものの、旧福浦灯台の説明が船内に流れる。1876(明治9)年に建造された、日本最古の木造灯台なのだそうで、船上からも白い建物をはっきりと見ることができた。(写真左下)
 現在では、1984年にできた灯台が海を照らしているので、現役を引退しているけれども、石川県の指定史跡になっているのだとか。出来た当時は、油を燃やして灯りを点す油火式という灯台だったのだそうだ。
 灯台見学が終わると、Uターン。乗船場へと戻っていく。来たときと同様、碁盤島と虎の岩の狭いところを通り抜け、今度は右手に厳門洞窟や千畳敷乗り場を眺めて進んでいく。
 乗船場へ戻ってきて時計を見ると、20分ほど経っていた。もうちょっと乗っていたい気もするが、見所は一通り見たわけで、船も大きくなってスピードアップされたのだろう。
 今度は遊歩道のあの階段を延々と登って、バスの駐車場を目指すのだった。
厳門
福良燈台
ちりはま号 厳門→気多大社(見学)
気多大社  次の下車観光地は気多大社。羽咋からの北陸鉄道能登線があったころは、加賀一宮という駅があり、初詣では国鉄から直通列車も走って賑わったところだとのこと。
 バスは福浦の街には入らず、高台を走る国道を走り抜けていく。その先で右折して、海沿いの県道を走っていく。志賀原子力発電所の脇を走ってしばらく行くと、志賀町の中心、高浜の市街地に入っていく。
 志賀町から羽咋市に入ると、すぐに妙成寺という日蓮宗のけっこう有名なお寺がある。運転士さんが肉声で「実はこの先に、最近有名になった本成寺というのがありまして。『何でも鑑定団』でご住職が風呂上がりにふんどしをかけていた屏風に高値がついたのをご存じでしょうか」と放送する。はい、しっかり知っています。
 気多大社に到着。運転士さんからパンフレットを受け取って、そのまま案内の方についていく。何でも定期観光バスの方には、旅の安全を祈願するお祓い付きなんだそうで。その後もいくつかのお社を案内してくれるのだが、そのたびに賽銭箱が。
 ようやく解説から解放されて、入らずの森の入口を見て、小雨降る中を駐車場へと戻った。
ちりはま号 気多大社→千里浜レストハウス(昼食)
千里浜レストハウス 千里浜の碑  次は「なぎさドライブウェイ」の入口にある千里浜レストハウスに向かう。ここで昼食休憩をして、いよいよ「なぎさドライブウェイ」に進めるかどうかが決まる。
 気多大社から、バスは羽咋の市街地に向かって走っていく。かつて北陸鉄道能登線が走っていたサイクリングロードを跨ぐと、その先で右折して市街地よりも海沿いの道を走っていく。汐見大橋で羽咋川を渡ると、集合住宅や運動公園などがある。
 その先で右折して、能登道路をくぐるとそこに建っていたのが千里浜レストハウスだった。バスを降りると、すぐに係の人に先導されて、奥の食堂へと案内された。
 定期観光バスの乗客に出されたのは、写真のような貝めしを中心とした定食。いしるという魚醤油で味付けされたは焼きまぐりがあった。実はいしるを食べるのは初めて。あまりのしょっぱさに一口目はびっくりしてしまった。魚醤というから、もっと生臭さとかあるのかと思っていたのだけれども、そういうものではなかった。
 食事が終わっても、まだ出発まで時間があるので、雨が降っているものの辺りを散策。「なぎさドライブウェイ」は通行止めが解除されたようで、走っていく乗用車を見ることが出来た。
 予定の時間になって、千里浜レストハウスを出発。運転士さんから「通行止めが解除されましたので、この先なぎさドライブウェイを走っていきます」と肉声で放送が流れる。
 「なぎさドライブウェイ」の終点からは、有料道路「能登道路」の今浜インターチェンジがすぐそば。そこから「能登道路」で一気に金沢市内に向かい、ほぼ定刻に金沢駅西口に到着した。
昼食
ちりはま号 千里浜レストハウス→千里浜なぎさドライブウェイ→金沢駅西口
なぎさドライブウェイへ
レストハウスの脇から海に入るように海岸に降りていく。
なぎさドライブウェイを走る
海水浴シーズンだからか道路との境界に柵がある。
対向してくる大型バス
大型バスも普通に走ってくる。
小川を渡る
小さな川を渡る。ショックがないようにゆっくりと走っていく。
波打ち際へ
波が来るところだって砂が締まっていれば走れるんです。
なぎさドライブウェイ終了
「なぎさドライブウェイ」もここまで。一般道へ上がる。
3.金沢駅西口13:39→13:54香林坊(ほくてつバス)200円 金沢200か・・30 日野/J-BUS(ワンステ)
金沢駅西口のほくてつ ゾーン券と説明  金沢駅から乗る急行バスは東口から。まだ時間があるし、周遊きっぷのゾーン券で、市内地帯制区間が乗れるので、これを使って西口から東口までバスに乗っていこう。
 まずは西口から10番東部車庫行きに乗って、繁華街にある香林坊バス停まで乗っていくことにした。
4.香林坊14:11→14:19金沢駅東口(北陸鉄道「城下まち金沢周遊」)200円 金沢230あ・801 三菱
香林坊の城下まちシャトル 金沢駅東口を発車する  香林坊バス停からは、やはり周遊きっぷのゾーン券で乗車できる「金沢まちなか周遊号」に乗っていこう。3台のレトロ調バスが12分おきに運転されている。
 マイクロバスのローザをボンネットタイプに改造した「犀星号」(青)と「秋声号」(緑)に、新型ポンチョの「鏡花号」(赤)。どれが来るかと待っていると、青い「犀星号」がやってきた。
 一般の路線バスは、雨が降ってきたからかかなりの乗客があったのに、同じ駅方面へ向かうこのバスに乗客はゼロ。何でだろうと思いながら乗車する。それでも、武蔵ヶ辻では大勢の人が待っていて、たちまち満員になってしまった。
 金沢駅で周遊きっぷを見せて降りる。周遊バスだが駅前でほとんどの人が降りた。
5.金沢駅東口14:30→15:27羽咋駅(北鉄能登バス)1000円(座席料100円含) 石川230あ・794 日野
門前急行 門前急行  さて、能登半島のローカル路線バスの旅を始めるために、ローカル便のスタート地点羽咋駅まで、急行バスに乗っていく。今回は「なぎさドライブウェイ」バスで走るということを、最初の目的としたために、前段として定期観光バスや急行バスの旅がついているのだが、羽咋駅からはいつものローカル路線バスの乗り継ぎになる。
 この急行バスも、かつては羽咋駅への乗り入れはしていなかったのだが、2009年5月末から駅前にも乗り入れるようになった。途中、能登道路を通るからか、座席料100円込みで運賃が1000円ちょうどとのこと。多少違うが、大半は先ほど定期観光バスで走って道を通りながら、羽咋駅前まで1時間ほどで運ばれた。

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