第2日 〜2008.12.24(水)〜

篠島→伊良湖→田原駅前

篠島から見た日の出
旅館の部屋から見た日の出
部屋から見た日の出 海岸から見た旅館  泊まったのは「ホテル大角(おおすみ)」というところ。左写真の中央の高台に建つ右側の建物。斜面に建っている関係で、フロントが5階で泊まった客室が7階。「今の時期は、部屋の正面に朝日が昇りますよ」と告げられた。
 朝は6時から入浴(加温・加水してるけど温泉)できるとのことで、ひと風呂浴びて髭を剃ってから部屋に戻ると、だいぶ空がオレンジ色になっている。
 やがて海の向こうに見える渥美半島の山並みから、太陽が顔をのぞかせた。すかさず1枚。海に浮かぶ、海苔養殖の網がくっきりと四角に見えて来た。せっかくだからと、カメラをパノラマモードにして3枚撮っておく。それをパノラマ合成したのが上の写真。
 渥美火力発電所の煙突が左側に見え、伊良湖岬の風力発電風車が右側に立ち並んでいる。朝日の中に、それらがシルエットで浮かんでいる。何とも幻想的な風景だ。日の出をこれだけしっかり眺めたのは何年ぶりだろう。
 それからしばらくすると、太陽はすっかり昇ってしまい、あのオレンジ色の空はどこへ行ってしまったのか。すっかり晴れた青空になってしまった。あのオレンジに染まった風景は、ほんのいっときにしか見られないのだなと、あらためて実感してしまった。
篠島の遊歩道 牛取公園と万葉の里
牛取公園からのパノラマ
牛取公園からのパノラマ。野島の向こうに見えるのが渥美半島伊良湖岬、右に見えるのは神島(三重県)。
牛取公園の廃展望台  篠島から伊良湖へ行く船便は10:40までない。そこで、島南部にある牛取公園の展望台まで行ってこようと思う。自転車不可の遊歩道を歩いて行けばよいと地図にある。
 宿のチェックアウトは10:00とのことなので、荷物を置かせてもらって、9時過ぎに出発する。島を時計回りに歩いて行く。舗装道路はすぐに終わり、獣道のような遊歩道に変わる。本当にここでいいのかと心配になるが『展望台』と書かれた標識があるから大丈夫だろう。
 遊歩道には、島弘法というお地蔵さんが祀られて小さな御堂が数メートルおきに建っている。そこそこアップダウンのある道で、海沿いの崖の上を歩くところもあった。
 『浜弘法』というところが途中にあった。浜辺に御堂があるらしく、遊歩道からさらに階段で海沿いに下るようなのだが、その階段はすっかり草に覆われて、最近降りた人がいるのだろうかという雰囲気だった。
 ようやく展望台の建物が見えて来た。最初は木の上にちらりと見える程度だが、近づいてようやくその全貌がわかった。なんと、潮風に吹かれてすっかり錆びていて、展望台そのものは立入禁止になっていた。がんばれば2階まではあがれそうだが、3階に上がる階段はすっかり朽ち果てていた。公園というから、もっと広いところを想像していたのだが、この展望台のあるわずかな平地が牛取公園というところのようだ。
 それでも、海沿いに立てば海面からの高さはそこそこあるし、天気もよいから展望がきく。海には小さな漁船がたくさんでている。後で宿の方に聞いたら、ナマコ漁をしている船だとのこと。篠島のすぐ近くにある無人島「野島」の近くにもたくさんの船が出ている。
 展望台を後にして遊歩道を進む。いったん海岸沿いまで下る。そこが鯨浜というところ。昔はここで獲った鯨の解体をしていたのだとか。そこから、階段状になった急坂を登る。地元の方と出会ったので、挨拶をする。登り切ると、そこから舗装道路になった。
 その舗装道路を少し下ると、「万葉の里公園」があった。木製の展望台があり、そこから牛取公園を望むと、あの展望台のシルエットの向こうに渥美半島が見えた。万葉公園の下、篠島小中学校の下の小さな湾にも、ナマコ漁の船がたくさん出ていた。
万葉の里から牛取公園を眺める
万葉の里の展望台から牛取公園展望台を眺める。向こうに見えるのが渥美半島伊良湖岬。
万葉の里展望台からのパノラマ
小中学校の裏の湾にはナマコ漁の船が何隻も出ていた。
10.篠島10:40→11:00伊良湖(名鉄海上観光船)1130円 イーグル3 鈴木造船
篠島の乗船場 割引乗船券  宿の方に港まで送ってもらった。窓口で昨日と同様クーポン券を渡して、伊良湖岬までの割引乗船券を購入する。1360円の乗船券が、急行料200円以外が2割引となり1130円の乗船券が渡される。
 昨日の乗船券は青色の文字だったが、今日の乗船券は緑色の文字。発券場所によって色が違うのだろうか。
 10:20に師崎行きのフェリー、10:30に師崎行きの高速船が出ると、待合室に残った人はわずか。残った人は10:50の河和行きの高速船を待っている人だろう。
 たぶん篠島から伊良湖へ行く人は自分くらいのものだろうと思っていたら、4人ほどの人が桟橋へと歩いて行った。やってきたのは、昨日乗ったのと同型の「イーグル3」という船だった。昨日は前部の低い船室に乗ったので、今日は後部の高い船室に乗っていく。
 牛取公園から見た伊良湖はかなり近く見えたのだが、海上から見る伊良湖はそれなりに距離があるように見える。はたして20分で着くのだろうか。
 船はまっすぐ伊良湖へ向かったように見えたが、そうではないようで対岸に近づくと船首を右に向けて陸地と平行に走り始めた。やがて右側からフェリーが近づいてくる。大丈夫か、ぶつかるんじゃないかと不安になったころ、まもなく伊良湖に到着と放送が入り、船首を左に向けた。
 右手に見えたフェリーは、この高速船と同じ伊良湖11:00着の鳥羽からの伊勢湾フェリーだったようだ。こちらが着岸するとまもなくフェリーも伊良湖に到着した。高速船が着岸した浮き桟橋の向かいには、神島行きの小さな船がつながれていた。全国版の時刻表には載っていないが、伊良湖からこの時期は3便の船が三重県の神島を結んでいた。
篠島に到着する高速船
道の駅『伊良湖クリスタルポルト』と伊良湖灯台
道の駅「クリスタルポルト」 道の駅きっぷ  バスまでの時間は30分ほど。道の駅きっぷを売っていた券売所で灯台までの道をたずねると、海沿いの遊歩道を行けば10分で行けるという。
 その昔、伊良湖に来たときは、まだ海沿いの遊歩道などなかった。ずいぶん高いところを歩いて、急な階段を下りると灯台が建っていた記憶がある。
 ところが、今は海沿いにきれいに整備された遊歩道ができていた。海沿いには大きな岩が並べられ、ところどころに短歌がはめ込まれている。
 灯台までは、本当に歩いて10分だった。白亜の灯台の写真を何枚か撮って、急いでバス乗り場へと戻る。途中で鳥羽へのフェリーが見えた。写真を撮りたくなって立ち止まり、結局時間をロスしてしまった。
伊良湖灯台
11.伊良湖11:33→12:35田原駅前(豊鉄バス)1040円 豊橋22あ・241 三菱
伊良湖の豊鉄バス  伊良湖からの乗客は3人ほど。運転士さんは、発車の直前にバスにやってきた。回数券を求めると「今の時間に乗るやつですか」と昼間回数券をすすめてくれる。ありがたいが、夕方まで乗るのでと断って普通の回数券にする。
 このバスは豊橋駅前行き。かつては、豊橋駅と伊良湖岬を結ぶ便が主流だったが、今では豊橋〜三河田原間は鉄道で。田原からバスでとシフトしているようで、日中の8便以外は伊良湖岬〜田原駅前〜渥美病院という運行経路になっている。
 伊良湖岬を出てすぐに、少し高台にあがる。かつて泊まったことがある伊良湖ガンダーラユースホステル。やっていたのは3〜4年間だったと思うのだが、今は空き家になっているようだった。
 渥美半島の国道は、西側を走る259号線と東側を走る42号線。バスが走るのは、豊橋へと続く259号線になる。どちらも海の近くを通っているのだが、海沿いを通っている区間は少ない。どちらかというと、なだらかに広がる畑の中を走っているという感じだ。
 海が見えたのは、石神バス停の前後と、その先の宇津江から江比間野外センター前辺りだけだった。その先、国道は半島の内陸部に通り、田原駅前に到着した。
徒歩:田原駅前バス停→田原市博物館(入館見学:入館料210円)→図書館バス停 (約1.6km)
博物館の入口 田原城のお堀  田原は『開運!なんでも鑑定団』でも、よく登場する渡辺崋山が家老だった土地。文化人切手に取り上げられたこともあった。三河田原駅にコインロッカーはないが、100円で荷物預かりをしてくれる。身軽になって街に出る。
 せっかくだから、田原市博物館くらいは行っておきたい。でも、その前に昼食だ。2008年2月〜4月に「渥美半島どんぶり街道」というイベントをやっていて、地元食材を使ったオリジナルどんぶりを出す店のスタンプラリーをやっていた。
 スタンプラリーは終わってしまったが、田原駅近くの「グリル華」という店に行くと、今でも「どんぶり街道」の幟がゆれていて、地元産あなごを使った「三河湾のあなご天丼」900円は今でもやっていた。
 おいしくボリュームたっぷりの天丼を食べてから、図書館の先を左折して城址に建つ博物館へ向かう。
 最初のコーナーが渡辺崋山だった。まず短編映画を見て、次の展示室へと進む。直前に映像で学習したばかりだから、これがそうなのかと興味を持って展示物を見ることができた。
 入館券には、通りの反対側に建つ民俗資料館の入館券もついていたのだが、もう時間切れ。小高い丘に建つ博物館から坂を下って、先ほど通った図書館まで戻る。図書館バス停から乗っても、田原駅前を通るから経路としてはつながるのでよしとしよう。  
博物館の入場券
12.図書館14:19→14:50サンテパルク(ぐるりんバス)100円 豊橋200か・・88 日野(ノンステ)
図書館前のぐるりんバス 図書館前バス停  これから乗るのは、田原市のコミュニティバス「ぐるりんバス」。豊鉄ミディという会社が運行をしている。その「ぐるりんバス」のほぼすべての路線がやって来るキーステーションになているのが図書館バス停。ちゃんと雨がよけられる屋根があるロータリーになっていた。
 ロータリーの脇には、初代ポンチョが停まっている。「ぐるりんバス」塗色をしているから、どこかの路線に使われているのだろう。これから乗るのは、西部線。福祉センター〜渥美病院〜図書館〜田原駅前〜サンテパルクという路線だ。やてきたのは、日野の小型ノンステップバスだ。
 ここからの乗車は2名。すでに数名のお客さんが乗っていた。終点まで乗るので、一番後ろの席に乗っていく。田原駅前に着くが、ここから乗ってくる人はいなかった。次のセントファーレバス停は、豊鉄バスの田原萱町バス停と同じところに立っていた。その先で右折して市役所前を通り、県道を三河湾沿いの白谷まで走っていく。
 その途中に、田原鉱山という露天掘りの石灰石の採掘所があった。そこだけ、景色が一変して別世界に来たような雰囲気だった。その先で左折して少し行くと右手に三河湾が見えて来た。
 白崎、仁崎と海沿いの集落を結んでいく。そのいくつかの停留所で地元の方が降りていき、海沿いの最後の停留所馬草を過ぎると、車内の乗客は3人にまで減っていた。
 その先で左折して、先ほど豊鉄バスで通った国道279号線を走るが、国道上に「ぐるりんバス」の停留所はなかった。国道を右折してしばらく行くと、そこが野田中学校バス停。ついに乗客は自分だけになってしまった。
 自分だけになったバスは、終点のサンテパルクに向かって走って行く。ここは農業をテーマにした体験型テーマパーク。芦ヶ池が見えて右折するとすぐだった。
仁崎の海岸風景
見学:サンテパルクの保存車輌たち
元豊橋鉄道の保存車輌
トラック改造のボンネットバス 京成車体のマーク  ここまで来たのは、豊橋鉄道の保存車両に会うため。600Vの直流で走っていた豊橋鉄道が、1997(平成9)年に1500Vに昇圧されるまで、大事に使われていた電気機関車デキ211と電動貨車デワ11がここに保存されているのだ。
 デキ211が1925(大正14)年、デワ11が1923(大正12)年の製造。よくぞ平成の世まで解体されずに残っていたものだ。塗装が若干はげてしまっているが、室内にも入れるようになっていて、貴重な電動貨車の内部を初めて見ることができた。
 もう1台、不思議なバスが保存されていた。「レトロン」と書かれたボンネットバスのような乗り物。愛知青少年公園(2002年3月末で廃園)で使われていた車両のようです。
13.サンテパルク15:47→15:55赤羽根支所(ぐるりんバス)100円 豊橋200か・・89 日野(ノンステ)
サンテパルクのぐるりんバス ぐるりんバスのバス停  次に乗るのは「ぐるりんバス」の赤羽根線。サンテパルクの次が終点の赤羽根支所。2停留所しかない短い路線だ。そのためか、赤羽根線だけを走るバスはないようで、サンテパルクへのびている西部線か大久保線からの直通運転になっている。
 次のバスは大久保線からの直通運転。ここに到着する前から、終点の赤羽根支所を表示してやってきた。半分くらいの人が降りたが、残りはそのまま乗車したまま。運賃も両線を通算して100円になるようだ。
 しばらく停まって時間調整をしていたが、ここから乗る乗客はもともとほとんどいないのか、発車予定時刻より3分早い15:47に赤羽根支所に向けて発車していった。
 芦ヶ池に沿って右折して、そのまままっすぐ渥美半島東岸の国道42号線まで出るのかと思っていたら、そうではなかった。芦ヶ池の先の信号のある交差点をいったん左折。その先の信号のない三叉路を右折して、畑の中の道を走って行く。
 国道42号線に出たところには、豊鉄バスの大石バス停があったもののコミュニティバスには停留所はない。その先の信号で右折すると、もう右手に旧赤羽根町役場の田原市役所赤羽根支所が見えて来た。
 バス停は支所の敷地内だった。隣にはホールもあり、催し物があるのか自家用車が次々と入ってくる。
赤羽根支所の建物
14.赤羽根支所前16:20→16:48保美(豊鉄バス)760円 豊橋22あ・148 三菱
赤羽根支所前の豊鉄バス 赤羽根支所前バス停  この先は、再び豊鉄バスに乗る。豊鉄バスのバス停は国道上にあり、赤羽根支所前というバス停名。敷地内に入る「ぐるりんバス」には「前」の文字がなかった。厳密に言えば、別のバス停だけれども、ほとんど同じ場所だしいいことにしよう。
 やってきた堀切経由保美行きは、伊良湖支線というバス路線。1日8往復で、朝と午後から夕方が運転の中心。下りは朝2本昼1本で、このバスが4便目、午後の初便だ。この後1時間毎に運行される。乗ってみると車内は高校生ばかりだった。まだ冬休みになっていないのだろう。
 この支線が走る国道42号線も、海に近いところを通るものの、海沿いを走る区間はなく、家並みや林の向こうにちらりと海が見える区間が続く。赤羽根漁港でようやくはっきりと海まで見渡すことができた。
 そんな国道を掘切海岸バス停まで走る。ここで最後の高校生が降りて、乗客は自分だけになった。そこから右折して保美に向かって半島を横断する。
15.保美17:04→17:35田原駅前(豊鉄バス)770円 豊橋22あ・243 三菱
田原駅前に着いた豊鉄バス 保美バス停  保美に着いて、とりあえず渥美半島を8の字型に回ることができた。ここでバス旅終了にしてもいいのだが、あまりに中途半端だ。経路は全く重なってしまうが、田原駅前まで戻ってバス旅終了としよう。
 保美は豊鉄バスの営業所のあるところ。伊良湖本線も渥美病院〜田原駅前〜保美の区間便が何本も運転されている。
 次のバスは、伊良湖岬始発の渥美病院行き。もう、この時間に豊橋駅直通はない。かなり暗くなった頃、ようやくバスがやってきた。車内の乗客は1人だけだった。
 国道から旧道に入った福江バス停から、若者が数名乗ってきた。バスに乗り慣れていないのか、車内で携帯を使ったり運転中に車内を歩き回ったりして、そのたびに運転士さんに注意されていた。
 ちゃんと注意するしっかりした運転士さんに安心して、無事に田原駅前到着。預けておいた荷物を受け取り、電車で新豊橋駅へ向かった。

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