第3日 〜2007.4.30(月・休)〜

京王八王子駅→橋本駅北口

さよなら夕やけ小やけ号
整理券 さよなら運転の立て看板  先週、暗くなっても京王八王子駅まで乗ってきたのは、このさよなら運転に来たかったからだ。
 1982年に伊那バスの中古車を購入した始まった、西東京バスの『夕やけ小やけ号』。京王八王子駅〜陣馬高原下を春と秋のシーズンに走っていた。
 排ガス規制が厳しくなると、八王子の車庫から規制区域外の奥多摩町の車庫に移り、運行日ごとに長距離回送して運行にあたっていた。しかしながら車体の老朽化もあり『夕やけ小やけ号』からは引退することになった。
 ということで、2007年4月29,30日,5月3〜6日の6日間、京王八王子駅〜夕焼小焼間を2往復する「さよなら運転」が実施されることになった。事前にウェブサイトでの告知もあり、各便62人の定員運行とある。
 途中、JR八王子駅だけ停車だが、満員の場合は乗車できないという。これは、始発の京王八王子駅から乗るしかない。
 乗り場に着いたのが7時半ちょっと前。係員の方が「ボンネットバス乗車の方は整理券をもらってください」という。もらった券はNo.43。定員が62名だから、あと20人で終わりだ。10分としないうちに配布終了になってしまった。
 係員の指示で、7:45から番号順に整列。この頃やってきて整理券終了を知りガッカリする人も多い。みんながいつやって来るのかとビデオやカメラを持って見守る中、他のバスと同じ速度で特別なことはないよといった様子で走ってきた。
大勢の待ち人を前にやってきたボンネットバス
12.京王八王子駅8:03→8:45夕焼小焼(西東京バス)650円 多摩22か23−79 いすゞ/北村
満員のボンネットバスに乗って 夕焼小焼に着いたボンネットバス  かつては京王八王子〜陣馬高原下の運行系統だった。2006年9月1日から高尾駅北口〜陣馬高原下の運行に変わり、京王八王子駅から行くには、途中の大久保で高尾からのバスに乗り換えが必要になった。しかも多摩バスの路線になっている。
 京王八王子駅から大久保を越えて、しかも西東京バスで運行されるのは8ヶ月ぶりのことだ。650円という通し運賃が適応されるのも久しぶりのことなのだろう。
 順番が来て車内入れば、もう通路までいっぱい。でも、まだ20人乗るのだ。前の方へと詰めていく。キャンセル待ちの人も数名乗せて超満員。そこへ「私も乗せてください。発車できませ〜ん」という女性車掌さんの声が響き、笑い声が起こる。車掌さんも無事乗って、定刻3分遅れで京王八王子駅を発車。
 JR八王子駅へ寄るものの、当然満員通過。停まって曲がって、そのたびに車体は大きく揺れる。立つのもやっとの超満員。でも、みんなこのバスに乗るのが目的で来たのだから、文句も言わずに乗っている。この揺れを感じられるのも、あとわずかなのだから。
 京王八王子駅から40分あまり、ようやく夕焼小焼バス停に到着した。整理券には乗車時に運賃支払いとあったけれども、実際は下車時の支払い。一人ずつ払いながらなので、降りるまで時間がかかる。ようやく車外へ出ると、みな思い思いの位置から「夕やけ小やけ号」を撮影していた。
夕焼小焼に着いたボンネットバス
夕やけ小やけふれあいの里(入場料200円)
ふれあいの里入口 ふれあいの里から路線バスを撮る  夕焼小焼バス停は「夕やけ小やけふれあいの里」という観光施設の最寄りバス停だ。このバス停着く直前、道路を跨ぐ歩道橋が見えた。あそこから「夕やけ小やけ号」の2便を撮りたい。どうやら一般道ではなく、この施設の中の道らしい
 入口で確認すると、あれは向かいの山にある温室園芸館とを結ぶ歩道橋で、入園しなければ通れないという。そこで、入園料200円を払って入ってみることにした。
 歩道橋につながっている夕焼小焼館に入ってみる。この中に、前田真三ギャラリーと中村雨紅展示ホールがあった。まずは1階の展示ホールを見学。童謡「夕焼小焼」の作詞者、中村雨紅の資料がいろいろと展示されていた。作詞者ということ以外、ほとんど知らない人だったので、興味深く見学できた。
 そして、2階の前田真三ギャラリー。美瑛の拓真館に行ったことはあるが、なんでここにと思ったら、前田真三氏の出身地がここだったとは。美瑛の写真だけでなく、八王子の写真もこんなたくさんあったんだなと、あらためて自然の美しさと時間の妙を楽しませてもらった。
 そして、3階から外へ出ると歩道橋がつながっていた。歩道橋の先の木道を歩いて、温室園芸館へ行ってみる。こちらの前庭からは、陣馬街道を上ってくるバスがサイドからねらえる。路線バスを撮ってみるが、こちらもなかなかよい。
 さて、まもなく「夕やけ小やけ号」がやってくる時間だ。こちらで撮るか、歩道橋で撮るか。迷った上、歩道橋で撮ることにした。時間が近づいて、もう一人、バス撮影の方がやってきた。
 まだ来ない、まだかなあ。そんな中、ようやく「夕やけ小やけ号」が現れた。サイドはほとんど写らなかったが、あまり見られない屋根上の様子や、後輪よりも前輪の方が間隔が狭いボンネットバスの特徴が写せたからよしとしよう。
ふれあいの里前を走るボンネットバス2便
13.夕焼小焼10:47→11:05タウン入口(多摩バス)370円 八王子22か・893 日デ/富士重工(ワンステ)
夕焼小焼の多摩バス  夕焼小焼から高尾駅行きのバスに乗って行く。本来なら、高尾行きもロータリーにあるポールから出るのだが、今日はボンネットバスが折り返し待ちで停まっている。そこで、道路上からそのまま乗車とのことで、係員に誘導されてバスのところまで行った。
 まだこの時間に陣馬高原から帰ってくる人はいないようで、車内の乗客はこのバス停から乗った人ばかり。ずっと立ったり歩いたりしていたので、バスの座席に座るとホッとする。
 今朝、立ったまま乗ってきた道を、今度は座って戻っていく。まだ、道の所々に折り返しのバスを撮影しようと、カメラを構えている人が見える。
 大久保バス停には、まとまった人数が待っていた。ところが、このバスに乗ったのは2人ほど。他の人は、大久保始発の京王八王子駅行きを待っているのだろう。このバスからも、八王子乗り継ぎの人が1人降りていった。
 川原宿で右折して高尾駅へ向かう。上り坂を走りトンネルを抜けたところが、グリーンタウン高尾の入口にあるタウン入口バス停だった。高尾の森わくわくビレッジで行われる「夕やけ小やけ号」展示会へ向かうため、ここで降りてバスを乗り換える。
14.タウン入口11:14→11:19高尾の森わくわくビレッジ(多摩バス)170円 八王子200か・825 日野/J-BUS(ノンステ)
展示会場へ向かうボンネットバス タウン入口バス停  バスを降りて、わくわくビレッジ行きのバスに乗るため、横断歩道を渡ろうとしたら、展示会場へ向かう「夕やけ小やけ号」がやってきた。さっきのバスのすぐ後ろを回送運転してようだ。慌ててザックからカメラを取り出して撮影する。
 バスはすぐにやっきた。乗車距離は1.1kmくらいだから、歩いても20分とはかからないだろう。バスの時間があわなければ、徒歩連絡も考えていたのだ。
 でも、乗ってみて歩かなくてよかったと思った。距離よりも、アップダウンが結構あるのだ。山を切り開いて作った住宅地。もとの地形に沿って道路も造られているのだろう。もう少し涼しければ、歩こうという気を起こしたかもしれないが。
 タウン中央で降りる人がいた。タウン東は通過。次がグリーンタウン高尾バス停。名前からして、ここがニュータウンの中心地と思っていたら大違い。ここはニュータウンの外れ。バス停の後ろは、けっこう広いバスの待機場兼折返し場になってる。
 そして、次が終点の高尾の森わくわくビレッジ。どこまで連れて行かれるのかと思ったら、ちょっと進むともう入口の門があり、そこを入ってすぐの建物の前が終点だった。その間わずか100mほど。あっけなく終点に着いてしまった。
 すでに建物の前には「夕やけ小やけ号」が据え付けられて、展示の準備が進められていた。展示時間は12時頃〜14時頃となっていた。頃という表現があいまいだけれども、すでに回送して到着している。とくに柵で囲ってあるわけでもないので、もう展示は始まっているようだ。
タウンに入口の多摩バス
わくわくビレッジでの「夕やけ小やけ号」展示会
わくわくビレッジの「夕やけ小やけ号」
夕やけ小やけ号 夕やけ小やけ号車内  さよなら運転は5月6日まであるが、わくわくビレッジでの展示会は4月29,30日の2日間だけ。それが今日来た理由でもある。
 まだ11時半だが、カラーコーンも並べられ、展示が始まっていた。天気もよすぎるくらい。正面とドア側面が順光なっているので、撮影にはちょうどよいけれども。
 車内にも入れるようになっていて、運転席以外は自由に座ったり撮影したりできるようになっていた。車内のプレートによれば、このバスは1967(昭和42)年の製造。もう40年走り続けているのだ。
 先ほど乗車したときは超満員で、車内の様子もよくわからなかった。あらためて見てみると、ドア付近は1人掛けシート。その前後は2人掛けシートが並んでいる。運転席脇にも2人掛けシートがあり、ここは前面展望席になっている。
 撮影タイムと乗車タイムが区別されているわけではないので、ドアの閉まったバスの全体写真を撮るのは、それなりに苦労している。撮影する人たちは、乗車する人が途切れる一瞬をねらって皆シャッターを切っていた。
15.高尾の森わくわくビレッジ12:25→12:35霞ヶ丘住宅(多摩バス)190円 八王子22か・890 日デ/富士重工(ワンステ)
高尾の森わくわくビレッジの多摩バス  撮影もできたし、予定より早いが先へ進むことにした。ここからは高尾駅北口行きのバスしかない。次の乗り継ぎを考えると、高尾駅南口に行きたい。南口行きのバスは少ないが、途中から乗り換えることができる。
 先ほど乗ったバスは、紺と白の多摩バス塗色だったのだが、今度のバスは西東京カラーのままの多摩バス。正面中央の「NT」マークを取り外して、緑色で「Tama」「多摩バス」とペイントされているだけで、ちょっと見は西東京バスそのものだ。
 タウン入口までは、さっき通った道を戻っていく。タウン入口を過ぎると、今度は下り坂が続く。左右に八王子霊園が広がる中を走っていく。東京霊園、南多摩霊園と霊園が続き、バス停も霊園正門、霊園前という順で現れた。
 中央自動車道をくぐって、さらに坂道を下り、その先の県道との三叉路を右折して上り坂に変わったところが、霞ヶ丘住宅バス停だった。いつしか車内には、立ち客が出るほどになっていた。
16.霞ヶ丘住宅12:38→12:50高尾駅南口(多摩バス)170円 八王子200か・709 いすゞ/J-BUS(ノンステ)
霞ヶ丘住宅の多摩バス  待つこと数分、高尾駅南口の行き先を出したバスがやってきた。今度も、西東京塗色の多摩バスだ。
 高尾駅北口行きのバスならば、次が終点。そんなに駅から近いのかといえば、そうでもない。距離は1.3kmほどあり、武蔵陵墓地の緑を見ながら丘陵地を上り下りする。そんなところだから、途中にバス停がないのだろう。
 このバスは駅前には入らないが、国道上に高尾駅北口バス停がある。その北口バス停で、自分以外降りてしまった。たしかに、次の終点高尾駅南口へは、ここで降りて歩いていった方が早く着く。
 バスは、コの字型に大きく迂回しなければ、南口に行けないのだ。その距離1km以上。町田街道入口の交差点で右折して、JR中央線の線路をアンダーパスする。その先の東浅川交差点を右折して、京王線の高架線の下をくぐっていく。そうして、ようやく南口に到着する。
 2回の右折と信号待ちで、この間に5分近い時間を要しているのだ。でも、こういう路線のおかげで、次のバスの乗り継ぎ地点まで駅の下を歩くことなく行くことができるのだ。
 南口のバス乗り場近くにあるラーメン屋で昼食にする。13時近いが大繁盛。お腹も満足して、先に進むことにする。
17.高尾駅南口13:28→13:39西八王子駅南口(京王電鉄バス)200円 八王子22か・982 日デ/富士重工(ワンステ)
高尾駅南口の京王電鉄バス  次に乗るのは、高尾駅南口と隣の西八王子駅南口を結ぶ京王電鉄バス。ほぼ、線路に沿った道を行く路線だ。こんな路線だから、当然駅から住宅地への乗客と、住宅地から駅への乗客が途中で入れ替わるはずで、全区間乗り通す者はほとんどいないだろう。
 待っていたのは、日産ディーゼルの小型ワンステップバス。正面のウィンカーがヘッドライトの脇についている、京王独特の顔つきをしたバスだ。何でも、京王と日産ディーゼルが共同で、このような7m以下にもかかわらず、中型バスと同じ断面を持ったバスを造ったのだとか。
 バスは、駅前を発車してロータリーを出ると左折する。後は、本当にまっすぐその道に沿って走っていく。駅からの乗客は、自分を含めて2人だけ。その乗客もじきに降りてしまった。
 途中から乗ってくる人も2人だけ。途中の停留所も6カ所しかない。7つめは、もう終点の西八王子駅南口だった。あまりにもあっけなく着いてしまい、もうちょっと乗っていたかったなと思いながら、バス共通カードをリーダーに通して降りた。
18.西八王子駅南口14:03→14:11万町(京王電鉄バス)180円 八王子200か・607 日野(ノンステ)
西八王子駅の京王電鉄バス  30分ほどの待ち時間で、法政大学始発の京王八王子駅行きのバスに乗る。先ほどのバスを降りたのが駅前だったのだが、次のバスの乗り場は駅前ロータリーにはなかった。
 ロータリーの先の道路上にポールが立っていた。どうやらロータリーはここ始発の系統用で、途中乗車となる系統はバスを長時間止める必要がないからか、その先の商店の前にしてあるのらしい。
 時間にわずかに遅れて、先ほどよりかなり大きく見えるバスがやってきた。すでに何人かの乗客が乗っているが、それほど混んでいるというわけではない。法政大学を出てから、京王線めじろ台駅、中央線西八王子駅と寄って、この先中央線八王子駅、京王八王子駅とたくさんの駅に寄っていくから、そのたびにかなりの乗客が入れ替わるのだろう。
 この路線は、線路沿いの道を行くのではなく、市民体育館や八王子実践高校など、線路からちょっと離れたところを走っていく。そのためか、それとも八王子駅まで行くからか、途中からの乗車もけっこうあった。
 次のバスへの乗り換えは、万町一丁目だと思ったいたのだが、この路線にはその停留所がなく、その1つ先の万町まで運ばれることになった。
19.万町14:42→15:08橋本駅北口(神奈川中央交通)300円 八王子200か・650 三菱(ノンステ)
万町の神奈中バス  次に乗るのは、JR八王子駅と橋本駅を結ぶ神奈川中央交通の路線。国道16号線を走っていく系統だ。
 やってきたのは、八王子ナンバーのバスだった。神奈川中央交通だから神奈川県内のナンバーだろうと思っていたのだが、あとで調べてみると八王子営業所というのがあった。
 三菱のノンステップバスだが、正面のドア近くにあるセイフティウィンドウがない。その代わり角丸長方形の窓があり「後のり」の表示がある。これまた、神奈中独特の仕様だ。
 丘陵地帯を行く国道16号線は、アップダウンが多い。そして、大学にニュータウン。そして、その間に昔からの集落があるといった雰囲気の景色が展開していく。
 坂下バス停を過ぎると次が橋本本町、どうやら都県境を越えて神奈川県に入ったようだ。神奈川県に入ってから橋本駅まではわずかだった。
 3連休最終日の午後ということもあって、国道16号線が少し混んで予定よりも5分程度遅れて、橋本駅のバス乗り場に到着した。

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