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第3日 〜2002.4.1(月)〜

延岡駅前バスセンター→臼杵駅

13.延岡バスセンター7:45→8:29辻の迫(ととろ入口)(宮崎交通)1300円 宮崎22か・887 日野
うめりあのわかあゆ号 わかあゆ号  宮崎・大分の県境は、延岡〜大分を結ぶ特急バス「わかあゆ」号に乗っていく。宮崎交通と大分バスの共同運行で毎日2便ずつ4往復が運転されている(当時)。朝一番の上り便は宮崎交通の担当。しかも、この便だけは日向からの直通運転なのだ。発車予定時刻を少し過ぎて、正面にわかあゆのマークをつけたハイデッカーバスがやってきた。
 ドアが開いて乗り込むとびっくり。何と夜行バスなどに使われている、独立3列シートなのだ。乗降場所が限られている指定席や定員制の高速バスならともかく、延岡市内と大分市内以外は乗降自由な特急バスに、28席しか座席がないバスを使って大丈夫なのだろうか。まあ、高速道路を通るわけではないので、いざとなったら通路に立ち席乗車ということはできるのだろうけれども。実際は、日向からの乗客は0だったし、延岡で乗ったのも6人ほどだったので、立ち席乗車ということにはならなかったけれども。
 北川町で国道10号線から国道326号線へと進んでいく。途中で宮崎県最後の集落である上赤行きのローカルバスを追い抜く。その先で県境を越えて、この旅3県目の大分県へ入る。長いトンネルを抜けたところにある道の駅「うめりあ」で10分間の休憩とのこと。
 うめりあから辻の迫まではすぐだった。宮崎交通の路線図では「辻の迫(ととろ入口)」となっていたのだが、車内の放送や運賃表示器は「ととろ入口」と告げていた。降車ボタンを押して、交差点の先で停まったバスから降りた。そこにあるバス停名は「辻の坂」で、「辻の迫」でも「ととろ入口」でもなかった。
ととろ入口
徒歩 ととろ入口バス停→ととろバス停(約1.5km)
ととろへの道しるべ ととろへの道しるべ2
ととろバス停 ととろバス停左右  地図を用意してきたものの、バス停を出てすぐの交差点に「トトロの森」への案内が建っていた。手作りの標識で、ちょっと口が本物には似ていないのが玉に瑕。その標識に従って歩いて行く。
 途中、唯一といえる商店があった。バス停やポストもあり、ベンチがあったのでジュースを買ってちょっと一休みしていく。その先も、道の分岐のところに標識が建っていた。標識を見る限り、ちょっと複雑な分岐のようだけれども、「トトロ」の文字に従って右に行けば、何も迷うことはなかった。
 やがて、道路の左側を流れる川の上に張り出したととろバス停の待合室が見えてきた。「ととろ」というバス停の丸い標識とともに、小屋の側面には猫バスが描かれていた。
 正面に回ってみると、なんとサツキとメイがいるではないか。ととろもしっかり葉っぱの傘を載せて足っていた。小屋の中には、轟(ととろ) という地名の由来が書かれてあった。  
ととろの由来
見学 ととろの森
猫バス
ととろの森へ 猫バスで記念撮影
ととろ人形  ととろバス停にやってくるバスは、1日3往復。朝昼夕の各1本だ。お昼のバスまで、3時間近くある。どこで時間をつぶそうかと思っていたのだが、何とバス停の150mほど先に「ととろの森」と名付けられた公園があったのだ。
 川の堰きの一部に板を渡して造った橋を通って、川の対岸に渡ったところに「ととろの森」はあった。大きな猫バスの看板が建っている。せっかくだから同行者と一緒に、セルフタイマーで撮影してみる。
 ベンチに座っていると、目の前に菜の花畑が広がり、頭の上からは風に飛ばされた桜の花びらがひらひらと舞ってくる。何もしなくていい、とてもゆったりとした時間が流れている。旅の途中にこんな時間があってもいいなと感じた。
 バスは1日3往復しかなくても、自家用車でやってくる人はけっこういた。春休み中だからか、小学生くらいの子供と一緒の家族連れが多かった。「ととろの森」の近くには、数台が停められる駐車スペースがある。そこに停めて降りてきた人たちは、バス停を見て森を見て写真を撮って帰って行く。時間にして15分くらいのもの。この空間と時間を、もっと楽しんでいけばいいのに。
 小さな石のととろにいろいろな願い事を書いたととろ人形が、森の入口のところに飾られている。残念ながら、現地で人形を手に入れることは出来なかった。
14.ととろ12:09→12:26木浦鉱山(大分バス)380円 大分22か20−56 日野
ととろの大分バス  次のバスは、この奥にある木浦へ向かうバスだ。このバスに乗って終点へ行ってみようと思う。1日3本の路線の終点へ行ける機会は、それほど多くはないだろうから。
 時間になり「木浦(傾山登山口)」という行き先を出した、お客がいないバスがやってきた。手を挙げると停まってドアが開く。運転士さんが「これ木浦行きだけど、乗るの」と聞く。「終点まで行ってみたいので」と言って乗り込む。
 いやあ、とにかくすごい道を走る。ほとんどが、バス1台がやっとの細道。しかも崖っぷちのところばかりなのだ。川までの高さはそれほど高くはないけれども、ガードレールなんて洒落たものは付いていないところが多い。
 車窓から見える川は、鉱石の影響なのかエメラルドに見えるところや、水中の岩が鉄さびのような赤茶色になっているところが、いくつか見られる。人家などまったくなく、いったい終点はどんなところなのだろうと不安になってきた頃、ようやく谷間が少し広くなってくる。
 谷間の細道がウソだったように集落が現れて、郵便局や3階建ての小中学校もあった。L字に曲がった道のどんずまりが、木浦鉱山バス停だった。
15.木浦鉱山13:20→14:41番匠(大分バス)1300円 大分22か20−56 日野
木浦鉱山の大分バス 木浦鉱山バス停  終点のバス停は木浦鉱山のはずだが、バス停の表示は「きうら」だった。かつてはきっぷ売り場もあったという建物には、「お食事処」の表示があるものの、今日はやっていないようだった。
 それではと、それほど広くはない木浦の街並みを歩いてみる。郵便局はちゃんと木浦鉱山局を名乗っていた。小さな商店もあり、菓子パンを買うことが出来た。1時間ほどの折り返し時間を利用して小学校のグランドにある桜の下のベンチに座り、昼食タイムにした。
 帰りのバスは「佐伯(葛港)」と表示されていた。全部で9列しか座席はないが、すべてリクライニングシートになっている。同行者は「疲れた」と言って、リクライニングを倒して寝てしまった。
 再び川沿いの細道を走りととろを通って、先ほど歩いて来た道を今度はバスで走り辻の坂(ととろ入口)を通過する。左の脇道に入ったかと思うと、国道をくぐって小野市の集落に入っていく。ここからは、重岡を目指して県道を走っていく。
 途中の千束というところがちょっとした町になっていた。イノシシの剥製を置いたシシ肉専門店も車窓から見ることができた。木浦鉱山からここまで、ずっと宇目町の中を走っている。役場は小野市と千束の中間に建っている。どちらかというと、千束の方が規模が大きいようで、こちらには重岡小学校や重岡中学校などもある。
 それでは、重岡駅はというと国道10号線沿いにJRの駅だけがあるようなところだった。重岡駅には映画「なごりゆき」のロケ地になったとの看板が取り付けてあった。
重岡駅
16.番匠15:05→15:41野津南(大分バス)820円 大分22か15−00 日野/西工
番匠の大分バス  番匠からは、佐伯と大分を結ぶ急行バスに乗る。「さざんか」と愛称が付いているようで、車体にも大きなさざんかの花が描かれていた。補助席なしの4列リクライニングシート車で、中央部にはトイレもある。かつて高速バスに使っていたお古だろうか。
 そんなバスを、中学生や高校生が通学に利用していて、けっこう頻繁に乗り降りがある。急行とはいっても、この辺りはこの路線しかないため、すべての停留所に停まっていく。大分に近づくまでは各駅停車なのだろう。
 番匠があるのは弥生町。ちょうど桜が満開だった。道の駅やよいや町役場を過ぎると、集落は終わりに近づき、風景は山の中の登り道に変わる。峠の中ノ谷トンネルを越えると、道沿いの標識が弥生町から野津町に変わった。周囲もだんだんと田園風景に変わってきた。やがて、風連鍾乳洞という文字が車窓に見えてきた。
 国道10号線は、野津の集落の西側を通っている。大分バスは、その国道を直進してしまう。野津でJRバスに乗り換えるのだが、こちらは集落の中を通り、そこに野津駅がある。そこで、集落の南に位置する野津南でこのバスを降りて120mほど歩くことにした。
17.野津16:52→17:29臼杵駅(ジェイアール九州バス)640円 大分22か18−68 日野
野津のJRバス 野津駅  日豊本線の臼杵と豊肥本線の三重町を結ぶ、臼三線というバス路線は、国鉄バスの時代から続く伝統ある路線だ。そんな国鉄バスの路線には、鉄道のない町にも全国の国鉄ネットワークの乗車券が買えるようにバス駅が設置されていた。
 ジェイアール九州バス野津駅は、その国鉄バス時代から続く立派なバス駅だった。ちゃんと出札口があり、きっぷを売っていたし、その前にはベンチのある待合室があった。1時間ほどの乗り継ぎ時間をその待合室で過ごすことにした。
 窓口の方に、バスの乗り場をたずねた。というのは、この駅は臼杵方面への進行方向とは反対側に立っているのだ。ところが、臼杵方面となる道路の向かい側にはポールは立っていないのだ。すると「待合室の前に停まりますよ」とのこと。
 何のことはない。ここは「駅」だから、バスの方が駅構内まで入ってきて、待合室で待つお客を乗せてくれるということなのだ。実際にやってきたバスは、いったん待合室の前を通り過ぎて奧の駐車スペースで停車。なんとそこには大きなターンテーブルがあり、そこで180度方向転換をしてから、ちゃんと待合室の前に停まったのだった。こうとわかっていれば、大分バスとJRの停留所が同じ場所にある野津高校前バス停で乗り継いで、ターンテーブルの乗車体験をしたのだが。今となってはもう遅い。
 バスは野津の街中を抜けると、国道10号線を走る。すぐに交差点を右折して、臼杵へ向かう国道502号線へと進路を変える。しばらく行くと国道を右折して、臼杵石仏に寄り道をする。ここには、臼杵磨崖仏という自然の岸壁に彫られた巨大な石仏がある。学生時代に行ったことがあるのだが、今日はこれが最終バスなので降りることは出来ない。
 臼杵駅方面への最終便なので、観光客が乗ってくるかと思ったが、誰も乗ってこない。4月初めの平日だと、春休み中の学生さんも列車やバスで旅をしないのだろ。
 東九州自動車道をくぐってしばらく行くと、今度は日豊本線の線路をくぐる。ここは、上臼杵駅の近くだ。上臼杵駅へ寄るバスは少なく、このバスは寄ることなく市街地へと進んでいく。小高い臼杵城跡をぐるりと迂回して、バスは臼杵駅前に到着した。

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