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第23日 〜2002.9.1(日)〜

千年町→都留市駅

169.千年町7:37→8:00戸台口(ジェイアールバス関東)660円 松本200か・・25 日デ/富士重工(ワンステ)
千年町のJRバス 戸台口の風景  戸台口方面の伊那里行きは、平日の朝は高遠始発の1本しかない。しかも7:10と早い。もし今日が平日なら、6時半頃ホテルを出て歩いて行かなくてはならない。土休日の朝なら2本あり、そのうち1本は伊那市から直通なので、千年町バス停から7:37に乗ることが出来る。今日は日曜日、ホテルでしっかり朝食をとってからの出発となった。
 やってきたのは、前中ドアのワンステップバス。こんな都会的なバスでも、安全確認の人が乗っていて2人乗務だった。車内は1人の登山客と座席がほぼ埋まる程度の高校生。しかも1人を除いて女子高生だった。日曜日なのに、部活でもあるのだろうか。その高校生たちも高遠駅で半数が降り、その先の高遠高校前で残りすべて降りてしまうと、車内は登山姿の中年女性と自分の2人だけになってしまった。
 バスは左手にダム湖の美和湖を見ながら走っていく。ちょうど順光で、湖面がキラキラととてもきれいに見える。ダム湖も終わりに近づいて、坂を下ったところが、待合所があるだけで、あとは何もない戸台口バス停だった。
 円形の村営バスのロータリーがあり、その向こうには「国鉄バス 戸台口」と書かれたバスの待合所があった。脇には川が流れ、すがすがしい気分になれた。
戸台口バス停
170.戸台口8:20→9:15北沢峠(長谷村営バス)1200円+荷物料200円 松本22か・220 日野
戸台口の長谷村営バス 南アルプス林道からの風景  8:10頃にマイクロバスの長谷村営バスがやってきた。村営バスといっても、ちゃんと緑ナンバーの営業車だった。先ほどの中年の女性、それから戸台口付近に一件だけあるという民宿に泊まったというおじさん、それに自分の3人でバスに乗り込む。すぐに運転士さんが来て、運賃の徴収。北沢峠まで運賃1200円+荷物料200円の1400円を払う。
 次のバス停は駐車場もある宿泊施設の仙流荘前。ここでは大勢の登山客が待っていた。ここは村営バスの車庫も兼ねていて、たくさんのバスが停まっているが、人数を数えてどうやら1台に乗せてしまうらしい。急遽、最前列、運転席の脇の座席に移動する。純粋なマイクロバス仕様なので、ここに座席があるのがうれしい。
 戸台大橋までは、元の森林鉄道の路盤を利用した道路を行くのだという。そして戸台大橋から南アルプス林道へ入る。ここは、許可車と徒歩以外は進入禁止だそうで、自転車も通行不可とのこと。バスが近づくと入口のゲートが上がって、林道へ進入可能になった。
 天気がよいこともあり、運転士さんの楽しい解説とともに景色がものすごくよかった。林道の脇には、大きな紫色の花があちこちに咲いている。運転士さんの説明で、「フジアザミ」という花だとのこと。途中に清水が湧くところがあり「飲まれる方いますか。ご希望でしたら停めますよ」とのこと。希望者がおらず、そのまま通過となった。
 登山もしないのに乗りに来て、と思ったけれども、この解説を聞きながら山や沿道の花々を眺めるだけでも、乗ってよかったと思える路線だった。
南アルプス林道入口
171.北沢峠9:45→10:10広河原(芦安村営バス)550円+荷物料200円 山梨22い・191 いすゞ
北沢峠の芦安村営バス 北沢峠バス停  県境の北沢峠で、今度は山梨県側の芦安村営バスに乗り換える。プレハブの小さな窓口があり、そこできっぷを求めると、荷物料200円込みの750円のきれいなきっぷが渡された。はじめから荷物料金が込みになった乗車券なんて、登山客の多いこの路線ならではだろう。はたして、荷物料金抜きの純粋な乗車券があるのか、聞くのを忘れてしまった。
 テントの中で列を作ってバスの乗車開始を待つ。やってきたのは、やはり緑ナンバーの村営バス。先ほどより小さめのマイクロバスで、今度も1台で運行らしい。またまた、運転席が空いていたので座らせてもらう。ところが、満席になってもまだ乗客がいる。
 南アルプス林道を走る村営バスは、原則座席定員で乗客がいる限り複数台で走ると聞いていた。そこで、もう1台出すのだろうと思ったら、「つめてください」と運転士さんから声がかかる。マイクロバスの狭い通路に立ち乗りさせるようだ。超満員になって北沢峠を発車した。
 山梨側は長野側と違い、未舗装の林道が続く。バスは慎重かつ大胆にその砂利道を下っていく。狭い谷間を下っていくので、景色という点では長谷村営バスの方が雄大だった。
 そんな坂道を下ったところにある、野呂川出合バス停に3人ほどの登山客が待っていた。「乗せないわけにもいかないし、協力お願いします」と運転士さんから車内に声がかかる。さらに3人を詰め込んで、バスは砂利道を下っていく。
 北沢峠を発車してから25分、ようやく一般車の進入を遮るゲートが見えきた。山梨県側の村営バスの基地、広河原に到着した。
 降りるとき、ほとんどの人が自動券売機の乗車券を渡していた。あれ、北沢峠に自動券売機などなかったがなと、降りてから広河原のバス乗り場を見てみる。こちらは、かなりきちんとしたバスターミナルになっていて、片道券や往復券の自動券売機がそなえてあった。自分のように、北沢峠を通り抜ける人は少数派のようで、登山者の多くは来た道を帰るのだろう。そういう意味では、峠で買った色刷りの乗車券は、貴重なのかもしれない。
バスの乗車券
ダートの林道を行く
徒歩 広河原(大樺沢出合)バス停 → 広河原ロッジバス停 約650m
途中の橋からの風景  芦安村営バスの広河原バス停前にある山梨交通のバス停は、大樺沢出合バス停。山梨交通バス広河原行きの終点は、ここから1つ先の広河原ロッジバス停だ。もちろん、ここからバスに乗ることはできるのだが、かなり混むらしいという話も聞いているし、末端の1区間だけ乗り残すのも心残りになりそう。そこで、始発の広河原ロッジバス停まで歩いていくことにした。
 場所は、ちょうど野呂川をはさんだ対岸あたりのはずだ。野呂川に架かる野呂川橋のところまで歩き「コ」の字形に大回りしていく。その野呂川橋から上流を見れば、なんという名前かわからないが(あとで地図で調べるとたぶんアサヨ峰)山が見える。この谷沿いの林道を、たった今バスで下ってきたのだ。
 広河原バス停から10分弱で、広河原ロッジに到着した。今日は日曜日だが、ロッジの営業は8月末日までとのことで、昨日で終わったらしい。それでも売店はまだ営業中のようで、並んでいる土産物の在庫一掃セール?が行われていた。ステッカーや絵はがきの類が、めちゃくちゃな安さで売られていた。
172.広河原ロッジ11:00→12:57甲府駅(山梨交通)1950円 山梨22あ12-25 いすゞ/IK COACH
広河原ロッジの山梨交通 広河原ロッジバス停  ここから約2時間かけて甲府駅へ行く快速バスに乗る。停まっていたのは中型バスだけれども、林道を走っていたマイクロバスからするとずいぶん大きく感じられた。
 これだけの大きさのバスが走るのだから、ここからの道は南アルプス林道とは違い、それなりのいい道だろうと思っていた。
 広河原ロッジからの乗客は数名だった。乗車してすぐ、車掌さんからきっぷの販売がある。次の停留所が、大樺沢出合バス停。あの村営バスとの乗り継ぎ停留所だ。さすがにここからは、まとまった乗車がある。ただ、まだ午前中の便だからか、座席がほぼ埋まる程度で立ち客が出るほどではなかった。
 ところが、これが勘違いだった。芦安までが南アルプス林道なのだそうで、大型車は通行禁止。だからバスも中型が使われていたのだ。それでも、とてもバスが走れるとは思えない、狭く曲がりくねった道が続く。車掌さんが乗っていること自体、このバスの特殊性を物語っていたのだ。
 走っていく林道は、バス1台がやっとの細道の連続。乗用車が来てもすれ違うことはまったく不可能なのだ。トンネルの手前では、かならず一旦停止し、クラクションを鳴らして対向車がいないことを確認して、それからようやくトンネルに入っていく。
 バスのダイヤ表もあって、どの待避所でバス同士の行き違い交換するかがあらかじめ決められている。すれ違いの予定場所が近づくと、運転士さんは無線で交信してお互いの位置を確認していた。
 途中の夜叉神峠登山口バス停で、降車できる休憩があった。これは乗客のためというより、乗務員のためだろう。休憩時間に、車掌さんに記念に乗車券の安いところを切ってくれないかとお願いしたが、それはできないと断られてしまった。しかたなく、揺れる車内で写真を撮ったのが左下の写真。画像加工したものの、ぶれて文字は読めなかった。
 そして、その林道を抜けたのが芦安村役場前バス停。ここで2度目の休憩があった。ここまで広河原ロッジから1時間20分かかっている。
 芦安からは普通の路線バスがあるので、このバスは行き先表示にあるとおり、快速運転をしていく。芦安からは走る道も県道になり、道幅も広がった。釜無川を渡ってからは国道に入っていく。途中のバス停は、六科、竜王新町、貢川の3つだけ。その次が、終点の甲府駅だった。芦安からは30分ほどの乗車だった。
立派な時刻表
乗車券
173.甲府駅14:00→15:00河口湖美術館(富士急行)1350円 山梨22あ10−10 日野
甲府駅の富士急行バス  山梨交通のバスが目立つ甲府駅前。7番乗り場も大半が山梨交通だが1時間に1本ほど、富士急行バスがやってくる。その富士急行バスの富士吉田駅行きに乗って行く。
 やってきたのは、前中ドアながらリクライニングシートの並ぶ車両で、宇和島バスで乗ったのと同じタイプのワンロマ車だ。
 甲府駅を発車すると、石和までは東に進んでいく。石和の街中で右折して、「御坂みち」を行く。この辺りから、御坂峠に向かってだんだんと登り坂がきつくなってくる。道の両脇には、ぶどう園がいくつもある。ぶどう狩りというと、9月〜10月の秋という印象があるのだが、もう開業しているところもあるようだ。
 旧道の峠道との分岐を過ぎて、ヘアピンカーブを1つ過ぎれば、いよいよ御坂トンネルだ。そのトンネルを抜けると、正面に富士山が見えてきた。下の方には河口湖の湖面も見える。なかなかいい眺めだ。
 峠を越えると、バスは河口湖へ向かってどんどん坂を下っていく。それに従って、だんだん湖面が見えなくなってきてしまったのは残念だった。
174.河口湖美術館15:12→15:37河口湖駅(富士急山梨バス)310円 山梨22い・275 日産
河口湖美術館のレトロバス  富士吉田駅まで行くのに、ここで降りたのは、ここから湖畔の周遊バスに乗るためだ。やってきたのは、日産シビリアンを改造したボンネットタイプのファンタスティックバス。見た目はいいのだが、座席が16席しかなくかなり混んでいた。
 一般の路線バスとは違い、右手に湖畔を見ながら走っていく。停留所に停まるたびに、少しずつ乗降がある。
 ハーブ館までやってくると、ついにバスは通路まで満員になってしまった。この小型バス以外にも中型バスも1台あるとのことだが、観光シーズンはフル稼働なのだろう。
 このバスのもう一つの特徴は、往路と復路の区間運賃が経路により違うこと。まるでタクシーのようだ。今回乗車した河口湖美術館〜河口湖駅も、往路は390円。今回乗った復路は、直通便だと310円、ミューズ館経由便だと430円とのこと。さいわい、この便は直通便だったので、310円だった。ほとんどの人は、2日間有効のフリークーポンやJRのとくとくきっぷなのだろうけれども、同じ区間に乗っても毎回運賃が違うのでは、とまどう乗客もいるのではないだろうか。実際に乗ってみると、現金払いの乗客もそれなりの人数がいるようだった。
175.河口湖駅16:00→16:13富士吉田駅(富士急行)230円 山梨22あ10−08 日野
河口湖駅の富士急行バス 富士急行タクシー  ここから乗車するのは、御殿場駅までの長距離バス。やってきたのは、甲府からと同様のワンロマ車だった。ただし正面下の表示は「富士急行」の固定表示で、行き先はフロントガラスの内側にあるのが違っている。
 河口湖駅前で目を引いたのは、駅前の富士急タクシー。バスと同じ塗り分けのタクシーというのは、なかなか興味深い。バスと乗用車では形が違うから、同じ塗り分けがマッチするとは限らないもの。うまく処理されていると思った。
 河口湖駅からの乗車は2人。もう1人のおばさんも、どう見ても御殿場まで行くという雰囲気ではない。ちょっと買い物の帰りといった様子だ。せっかくの長距離バスに、短距離のお客2人ではかわいそうだが、これが路線バスの普段の姿なのかもしれない。
 多少流れの悪くなった道を13分ほどかかって、車庫もある富士吉田駅に到着した。件のおばさんも、ここで降りていった。無人になったバスは、山中湖方面へ向けて走っていった。
176.富士吉田駅16:30→17:13都留市駅(富士急山梨バス)670円 山梨200か・・99 日野(ノンステ)
都留市駅に着いた富士急山梨バス  今日はもう1本、都留市までのバスに乗っていく。やってきたのは、前中ドアのノンステップバスだった。スタートからここまで170台以上のバスに乗っているが、ノンステップバスに乗るのは高松での大川バス以来まだ2度目だ。これから東京都内に入っていくし、乗る機会も増えてくるのだろう。
 鉄道の富士急行線に沿って走るバスだから、鉄道駅よりも自宅が近いであろうお年寄りが乗客の中心だった。10人弱いた乗客も、吉田の街を抜ける頃には数人になっていた。そういう利用が多いから、この路線にノンステップバスが導入されているのかもしれない。
 順調に走っていたバスも、都留市駅が近づくと大渋滞にはまってしまった。どうやらお祭りをやっているらしい。浴衣を着た人が、駅の方向へぞろぞろと歩いていく。ようやくお祭り渋滞を抜けて、都留市駅前に到着した。
 自分ともう1人、中年の女性が富士吉田駅からここまで乗り通した。鉄道に乗るよりも運賃だって高いのだが。別にその女性は、路線バスファンというわけではないようだったが。

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