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第32日 〜2002.11.11(月)〜

太田駅前→郡山駅前

230.太田駅前6:54→8:26東館駅前(茨城交通)1500円 水戸22あ・778 いすゞ/川崎車体
太田駅の茨城交通  茨城と福島の県境を越えるバス路線は、国道349号線を行くこの路線しかない。しかも、小中車庫から先の県境部分は、全便休日運休なのだ。
 そこで、今日は朝1番の便に乗るため、早起きになった。駅前のバス停には高校生が男子を中心に10人ほど待っている。予定より3分ほど遅れて、「小中・東館」と表示されたバスがやってきた。高校生に続いて乗り込む。
 太田の細長い市街地をバスは走っていく。その市街地の終わりに近い、太田馬場で女子高生が2人降りていくが、他の高校生は動かない。歩道には、自転車登校する中学生の姿が目に付く。
 やがて、バスは右側の細道に入っていく。集落が旧道沿いにあるところでは、バスが寄り道をしていくようだ。そんな中、ひとりの女子中学生が乗ってきた。バッグに里美中の文字があるから、里美村の中学まで越境通学しているのだろう。
 再び国道に戻り、また右側の細道に入る。「玉簾の滝」の案内とともに、日立市の文字が見える。日立市の市域はこんな山奥まで延びていて、この東河内から日立駅までは、日立電鉄の路線バスも走っている。今回は日立からの乗り継ぎも考えたのだが、日立からの初便に乗っても、このバスには間に合わずにあきらめることにした。
 日立市から里美村に入ると、今度は停留所ごとに女子中学生が乗ってくる。なぜか乗ってくるのは女子ばかり。この辺りに男子中学生は住んでいないのか。もしかすると、男子は自転車通学ばかりなのかもしれない。
 かなり走って、左側の細道に入った折橋十文字バス停で、高校生たちがみな降りていく。太田駅前からここまで50分。いくら若くて体力があるとはいえ、揺れるバスで1時間近く通学するのはたいへんだろう。細道から国道に戻ったところが里美中学校で、ここで中学生が降りていく。これで通学輸送は終わりかと思ったら、交代に黄色い帽子の小学生が停留所ごとに乗ってくる。それも小里小学校まで。
 そこから先は、わずかな乗客を乗せて、県境の明神峠を越えていく。福島県に入ると、道が狭くなるところもあったものの、交通量は少なくバスは順調に走っていく。
 太田駅前から1時間半かかって、矢祭町の中心、東館駅前に到着した。
茨城・福島県境
徒歩  東館駅前→東舘車庫  約380m
東館車庫  茨城交通は駅前に入るものの、福島交通は駅前にはやって来ない。せっかくだから、始発地点の東舘車庫まで歩いていく。
 東舘車庫バス停は、国道沿いの道端にあった。茨城交通のバス停でいうと、駅前から2つ手前、金沢医院バス停の近くだった。それでは、車庫はどこなのだろうと、そのまま歩いていくと、ホームセンターの先にある橋を渡った向こうに空き地があり、そこにバスが停まっているのが見えた。
 行ってみると、バスが2台停まっていた。1台は「棚倉」、もう1台は「棚倉駅前」を表示している。とくに「棚倉駅前」を表示したバスは、かなりの古株のよう。顔つきからして、ブルドックと呼ばれているバスだろう。
 せっかくだから、あのブルドックに乗ってみたいと思いながら、東舘車庫のバス停まで戻るのだった。
 ところで、この国道を走るJRバスを目にした。運転席の脇に「教習車」の表示が。どうやら、乗務員の訓練をしているようだ。
231.東舘車庫9:34→10:09棚倉駅前(福島交通)800円 福島22か21−80 三菱/新呉羽
東舘の福島交通  定刻に4分ほど遅れてやってきたのは、期待を裏切って新しい方のバスだった。前ドアの脇の表示は「一般乗合」ではなく「貸切」。正面には「矢祭町、塙町、棚倉町、市町村生活バス」の表示があるものの、車内では福島交通の回数券を売っていて、乗車する分には普通の路線バスとなんら変わりはなかった。
 久慈川に沿った谷間を、水郡線とともに走る国道118号線を、バスはひたすら走っていく。それでも、少し行くとバス停にお客さんが待っていた。平日の昼間だから、乗客はお年寄りが圧倒的に多い。
 塙駅前だけは国道から右折して、駅へと向かう。それでも、本当の駅前には入らず、バス停はその手前。そこから左折して、塙厚生病院へ向かう。病院前では私以外の乗客がすべて降りてしまった。入れ替わりに10人弱のお年寄りが乗ってくる。
 バスは途中の停留所でお年寄りを降ろしながら、ひたすら国道を走っていく。棚倉の駅は細長い棚倉の街の北の方。街中でお客さんを降ろしながら走っていき、駅からはちょっと離れた国道上にある棚倉駅前バス停に到着した。
232.磐城棚倉10:15→10:54新白河駅(ジェイアールバス関東)710円 いわき22か・571 日野
磐城棚倉のJRバス 専用道を走るJRバス  信号を渡って磐城棚倉駅までは歩いて3分ほどだった。当初の案では、1時間後のバスだったのだが、城趾まで往復するには時間がないし、まだ間に合うので早いバスに乗ってしまおう。
 白河と棚倉を結ぶ白棚線の楽しみは、何と言っても元線路敷のバス専用道を走るところだ。そのためには、ぜひ前方の座席に座って、前を眺めたい。運良く一番前の座席に座ることができた。
 地図を見ると、ユニチャームの工場の西側から専用道が伸びているものの、その部分は国道を走っていった。三森というバス停の先から、専用道に入っていった。たしかに、バス1台分しか幅のない道。ほとんどまっすぐで、カーブしていてもゆったりとしたカーブになっている。バス停のあるところは、広くなっていて、バスの交換ができるようになっていた(写真左下)。いかにも鉄道といった雰囲気の切り通しを抜けた先で、東館で見た教習車が待避所に停まっていた。そして、そのバスを追い越した(写真右)。専用道での行き違いというのはあっても、追い越しを体験できることは貴重ではないかと、ちょっとうれしかった。
専用道の停留所
233.新白河駅12:15→13:12石川駅前(福島交通)800円 いわき22か・217 三菱/呉羽
新白河駅の福島交通  新幹線も停まる西郷村の新白河駅でバスを乗り継ぐ。再び水郡線の磐城石川駅へと向かう。乗車するバスは、福島交通の白河駅経由石川行き。JRの磐城石川駅前が終点ではなく、街中の石川営業所まで行くようだ。
 ここからの乗車は3名。しかし、そのお客さんは、白河駅に着く前にみな降りてしまった。それでも、白河駅からは5人ほど乗ってきた。白河〜石川間のバスは、日中でもほぼ1時間に1本ある。平日の昼間にこれだけ乗っていれば、まあいい方なのかもしれない。
 バスは阿武隈川に沿った田園地帯を、たんたんと走っていく。水田と畑が続く、これといった特徴のない風景が続く。その風景に彩りを添えてくれたのが、ところどころにある、小規模なリンゴ畑。そこに来ると、色づいたリンゴがたわわに実っている。ぜひ写真に収めようと挑戦するのだけれども、どれもあまりに小規模で、カメラを構えた時にはもう通り過ぎてしまう。
 石川が近づくと阿武隈川から離れて、ようやく谷間の雰囲気になる。そんなところに猫啼というバス停がある。近くには猫啼温泉というのがあるそうだ。やがて、街の南の外れになるらしい磐城石川駅に到着した。
234.磐城石川14:00→15:03小野新町(ジェイアールバス関東)1220円 いわき200か・・27 日デ/富士重工
磐城石川のJRバス バスの車内  ここは福島県だけれども、走っているバス会社はジェイアールバス関東。この路線が関東の会社の最北路線だ。運行本数は少なく、1日5本。そのうち3本は土曜休校日運休で、休日は全便運休という路線。
 これから乗る便も土曜休校日運休なのだが、今日は月曜日だから大丈夫だろう。沿線のすべての学校が、文化祭の代休で休校日などということがあれば別だが、その可能性は少ない。
 13時50分頃に、バスは回送でやってきた。このバスの運転士さんはとっても話し好き。いろいろと情報を教えてくれた。やっぱり関東の最北路線ということで、乗ることを目的に来るバスファンも多いとか。
 この路線は2台のバスでまかなっているとのこと。今乗っているバスは伊那から来たもので、もう1台は高速バスの東京〜いわき線で使われていたトイレ付きバスのお古だという。そういえば、茅野駅から高遠へ行くとき乗ったJRバスが同型だった気がする。
 高速のお古はともかく、このバスは大きさも大きくないので高校生の輸送には厳しい。そこで少しでもスペースを作るために、網棚と補助席をはずして欲しいと乗務員から希望したとのこと。網棚ははずしてもらえたものの、補助席をはずすと定員が変わってしまい、車検からやり直しになるので、それはダメだったとのこと。たしかに、補助席がなければ、かなりの立ちスペースの確保にはなるだろう。
 小野の街中で、その高速バスのお古の石川行きとすれ違った(写真左下)。
すれ違った元高速車
235.小野駅前16:22→17:37郡山駅前(福島交通)800円 いわき22か・101 三菱
小野駅前の福島交通  次に乗るバスまで1時間以上あるので、駅近くの小町温泉に行く。日帰り入浴施設はなく、3件ほどの温泉旅館の日帰り入浴を利用するほかない。その中で、自前のWebページを開設している1件へ行きお伺いを立てる。今日はちょうど掃除をしてしまい、まだお湯が少ないが、それでもよければとのこと。とりあえず、浴槽を見てから決めて下さいとのことで、浴室をのぞくと、なんとか浴びることはできそうだ。掃除仕立てのお湯に入れるのも魅力じゃないかと、500円払って入浴する。
 ゆっくり暖まって、小野新町駅へと歩いていく。JRバスは駅舎の前から発車するものの、福島交通のバス停は駅前の県道上だった。2分ほど遅れて、バスは街中の方からやってきた。駅前のロータリーでぐるっと向きを変えて、県道上のバス停に停まる。こんなことなら、駅舎の前で乗せてくれた方が安全なのにと思うのだが、土地の使用とか、いろいろと難しいことがあるのだろう。
 やってきたバスは、東舘では乗れなかったブルドックではないか。行き先表示の脇には、銀色の「ICカード」などというシールも貼られている。最新式のICバスカードにも対応しているようで、この古いバスもまだしばらくは活躍してくれそうだ。
 小野駅前から乗ったのは私と女子高生の2人だけだったが、小野の街中からは高校生を中心に、結構なお客さんをひろっていく。磐越東線は、小野からは北に大きく迂回しているから、ほぼ真西に郡山を目指すこの路線にも、それなりの乗客があるのだろう。
 そうは思ったのだが、実際は区間利用が圧倒的に多かった。鉄道に沿っていない路線だからか、沿道の学校前に到着すると、下校の生徒たちが必ずと言っていいほど乗ってきた。
 外は太陽が沈んで真っ暗になってしまった。1時間近く乗ってまだ郡山に着かないのかと、閑散となった車内を一番前の席に移動する。やがて、緩い下り坂で目の前に光の海が広がった。山道からいきなり都市の中に飛び出したようだ。
 その光の海が、郡山の中心地だった。JRの線路を陸橋で越えて右折すれば、もうすぐそこが郡山駅前だった。バスを降りても、すぐに発車する気配がなかったので、急いでカメラを用意してブルドックを撮影した。これだけバスに乗っているのに、本州でモノコックバスに乗ったのは、尾道市営バス、関鉄観光バスとこのバスで、まだ3台なのだ。
郡山駅前に到着した福島交通

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